6センチの絆

No.285
カテゴリ:スポーツ
オススメ度4 ★★★★☆☆☆☆☆☆
著者:原作:安達士郎 作画:中島真
出版社: 小学館
発売日:2017/3/17(1巻)
巻数:2巻完結

「君の目はもうじき見えなくなるかもしれない」

たすきをかけて走るタイトル表紙。

その姿にとっても惹かれました。

日本でもっとも注目を集める陸上競技。
箱根駅伝を舞台にした青春ストーリー。

それがこの「6センチの絆」です。

あらすじ

「君の目はもうじき見えなくなるかもしれない」

1年生にして箱根駅伝の出場メンバーに選出された羽柴日出朗。
その彼を襲ったアクシデント。

一度は失意のどん底に突き落とされながらも、仲間との繋がり、“キズナ”を胸に、夢への一歩を再び踏み出す。


感 想

6cm = たすきの太さ。

たすきで繋ぐ、絆のストーリー。

うん、わかってましたよ。
感動系ですよね。

箱根駅伝をテーマにしたスポーツ漫画。

なのですが。

駅伝でのランナー同士のバトルや駆け引き。
抜きつ抜かれつの手に汗握る展開。

そういったものはありません。

才能ある新鋭のランナーである主人公。
目が見えなくなるというアクシデントを抱えて絶望する。
でも障害を負ったことで気づく、人の優しさ、仲間との絆。

という展開。

一人のアスリートの再生の物語です。


キズナな人たち。

羽柴日出郎。
城東大学2年、第10走者。
才能あるがゆえにチームで孤立していた。
やがて目の病気が発覚する。

常盤太陽。
城東大学4年、副主将。
第1走者。
羽柴が孤立しないように常に気遣う先輩。

紫村綾歌。
城東大学2年、マネージャー。
羽柴の幼馴染。
視覚障害のランナーへのボランティア活動をしている。


感動の押し売り感。

とってもいい話なんです。

ただ、、。
無駄に濃いい。
もうすぐ目が見なくなる!
でも俺は逆境に負けない!
アイツがやるなら俺たちも死ぬ気で走る!
俺たちのアンカーへ繋ぐ絆!!

やや食傷気味になるくらい、熱いドラマが展開されます。

夏の某24時間テレビのチャリティのような。

くさいとも思えるほどの過剰な演出。

読んでいてそれが気になりました。


多すぎる回想シーン。

物語はランナーが走っている時に、それぞれの回想として過去のエピソードが入る構成。

でもほとんどがこの回想シーン。
これほど回想シーンばかりなら、時系列で描いた方がわかりやすかったんじゃ?

スポーツ漫画の醍醐味って。

思いもしない時に訪れるアクシデント。
それをどのように克服していくのか!?

それがリアルタイムで描かれてこそだと思うんです。

回想という手段をとったために。

エースのランナーが目が見えなくなるんだな。
でも復帰するんだな。
この副主将とマネージャーが手を貸すんだな。

と。
オチが先に見えてる状態。
なのであまりワクワクもドキドキもない。

さらにその回想シーン。

箱根駅伝は走者が10人です。
その10人分の過去エピソードが描かれると思いきや。

第1走者 ➡︎ 第10走者(主人公)。

たった二人かいっ!

第2〜9走者も描いたれよ!(笑)

しかも2巻完結でその2巻半分までが第1走者が走ってるシーン。

なんかペース配分おかしくない??

この構成は予定通り?
それとももっと続く予定だったのでしょうか?

絆、絆と言いながら。

主人公の復帰を支えるチームの姿がほとんど描かれません。
マネージャーとなる幼馴染とのシーンの方が多い。

再びメンバーに選出されるまでのエピソードも急すぎる。

どうにも人間ドラマが希薄。
2巻完結では仕方ない…とは言えないところ。


さて、評価は?

作画はとても良い。
駅伝のシーンもスピード感があってのめりこめる。

ただそれが回想シーンの連続でぶつ切りになるのがもったいない。

どうにも構成のバランスの悪さで、せっかくのいい素材がダメになった印象です。

表紙で期待した割には…。
盛り上がらず2巻で終了。

ということで。
気になる方は読んでみては?の【星4つ】です。

全2巻を読む
(2017)

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