No.139
カテゴリ:ホラー/1巻完結
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆
著者:田辺剛
出版社: KADOKAWA/エンターブレイン
発売日:2016/3/25
巻数:1巻完結(シリーズは3集あり)
「なにかが来る…」
宇宙的恐怖(コズミックホラー)の小説家であり、クトゥルフ神話の創始者のH・P・ラヴクラフト。
その代表作を恐るべき画力で田辺剛先生がコミカライズするシリーズ。
そのラストを飾る第3集目がこの「闇に這う者」です。
概 要
収録作品は以下の2編。
1.「ダゴン」
1917年執筆、ある人物が出会った遠洋の怪異を描く。
2.「闇に這う者」
1935年執筆、ラヴクラフト最後の傑作と言われる作品。
本作はシリーズ3作の中で最もホラー色が強く出ています。
これぞクトゥルフ、これぞラヴクラフトという味わいです。
作画に一層磨きがかかっています。
特に「闇に這う者」での廃虚と化した教会でのシーンは息も詰まるほど。
カビ臭い匂いまで漂ってきそうです。
空気感を描く達人です。
そして人智の及ばぬ闇の「何か」。
ハッキリとは描きません。
あくまで「何か」で止めているんです。
認識できそうでできない。
闇に紛れる。
もう、この寸止め感が素晴らしい!
謎は明かされず畏怖だけが残される結末。
さて、評価は?
「闇に這う者」は満足のいく怖さと面白さ。
「ダゴン」は正直物足りないかな…。
前作の「異世界の色彩」と比べるとやはり評価は少し下がる。
なので【星7つ】。
電子書籍の良さ。
ラヴクラフトのコミカライズ、3作続けて紹介してきました。
いかがだったでしょうか?
最後に。
これから田辺剛作品を読んでみようかな、と思っている方へ。
とっても個人的な意見です。
田辺先生の作品は電子書籍で読む方が、作画を堪能できると思います。
紙の書籍も電子書籍も持っていますが、見比べると、電子書籍の方がより黒の陰影がハッキリと出ます。
紙の質感も捨てがたいのですが、絵の迫力を楽しむなら電子版ですね。
少なくとも僕が電子書籍を読むMacBookProではそう感じました。
参考までに。
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(2016)
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