魔犬 ラヴクラフト傑作集

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No.137
カテゴリ:ホラー/1巻完結
オススメ度9 ★★★★★★★★★☆
著者:田辺剛
出版社: KADOKAWA/エンターブレイン
発売日:2014/8/25
巻数:1巻完結(シリーズは3集あり)

「あの遠吠えが聞こえる…」

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宇宙的恐怖(コズミックホラー)の小説家であり、クトゥルフ神話の創始者のH・P・ラヴクラフト。

その代表作を恐るべき画力で田辺剛先生がコミカライズした作品。

シリーズ化していますが、その第1集目がこの「魔犬」です。

概 要

収録作品は以下の3編。

1.「神殿」1920年執筆。

2.「魔犬」1922年執筆。

3.「名もなき都」1922年執筆。


感 想

ラヴクラフトの謎に満ちた暗黒世界。
その重々しい空気感。

よくぞここまで描けるものだと感嘆。
素晴らしいです。

そして。

突出した作画のオリジナリティ!!

どの漫画にも似ていない。
どうゆう変遷を辿れば、この作風に辿り着くのだろう?

その作画の緻密さは十分表紙の書き込みで伝わると思います。

たまに表紙だけ書き込まれていて本編はそれほど…という作品もありますが、本作は中のページこそ濃いい。

黒の陰影に引き摺り込まれます。

3編とも素晴らしいのですが、中でも「神殿」の出来は天才的。

この「人智を超えたもの」を描き具合は、僕の拙い言葉では伝えられない。

ぜひ読んでみて頂きたい。


あらすじ & 1カット

1.「神殿」

遭難したドイツ軍のUボート。
乗員たちが海底で遭遇したのは想像を絶する光景だった…。
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2.「魔犬」

墓荒らしをしていた二人の青年。
あるとき彼らは禁忌の墓を暴いてしまう…。
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3.「名もなき都」

伝説の書、ネクロノミコン。
そこに記された砂漠の果ての呪われた都。
ついにたどり着いた男は驚愕の事実を目撃する…。
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ラヴクラフトとは?

漫画好きの方ならご存知の方が多いと思いますが「ラヴクラフト」について少々。

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H・P・ラヴクラフト

1920〜30年代頃に活躍したアメリカの幻想ホラー小説家です。
その影響力は凄まじく。

あのスティーブンキングをはじめ、現代のホラー・SF作家、映画監督、ゲームデザイナーと。

愛読者は多岐分野に及びます。
エイリアンのデザインを手がけた画家のH.R.ギーガーも有名ですね。

そして作品の中で生まれ、他の作家仲間と共通のモチーフとして使われた存在。
あたかも「実在するような」演出をし、後に体系化されたものが、かの有名な「クトゥルフ神話」です。

まぁー、この「クトゥルフ神話」。
日本で最初に扱ったのがあの江戸川乱歩といいますから。
どれほどクリエーターに影響を与えてきたか。


何故、これほど支持されるのか?

これほど世界中で支持されるラヴクラフトですが…。
とても不遇な生涯を送っています。

生前に刊行された単行本はわずか1冊。
貧困のまま、46歳という若さで病没。

没後、友人で弟子のダーレスらの尽力によって「クトゥルフ神話」は体系化され、残された作品群も脚光を浴びることとなります。

その生き様すべてが作家性を際立たせ、こんなにも世界中のクリエーターから愛され、題材とされ続けるのだと思います。


さて、評価は?

そして、このラヴクラフト作品のコミカライズに果敢に取り組む田辺剛先生。

ラヴクラフト原作のコミカライズ作品はいくつかありますが、その中で圧倒的支持を得ています。

もちろん僕もその一人。
緻密なだけではなく、ラブクラフトの空気感までをも描写する画力。
この才能は計り知れない!

満足の【星9つ】

他の作品も順を追ってどんどん紹介していきます。

全1巻を読む
(2014)


【その他の田辺剛作品】

狂気の山脈にて 全4巻
(2016〜)
記事を読む

ラヴクラフト傑作集(シリーズ3集)

記事を読む(異世界の色彩)(2015)

記事を読む(闇に這う者)(2016)

サウダージ
(2015)

ゲニウス・ロキ
(2011)

累 全2巻
(2007)

アウトサイダー
(2007)

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