No.147
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン/2巻完結
オススメ度9 ★★★★★★★★★☆著者:山うた
出版社: 新潮社
発売日:2016/2/9
巻数:2巻完結
「楽しい思い出 足していけばいいんだよ」
またなんとも。
切なすぎる漫画に出会ってしまった。
不老不死を題材にした作品は数あれど。
この切り口は新しい。
残酷さと優しさが同居した不思議な作品。
それがこの「兎が二匹」です。
あらすじ
外見は20代の女性ながら、398年も生き続けている不老不死のすず。
彼女は必死に死のうとする。
すずに想いを寄せる同居人の青年・サク。
毎日すずの自殺の手伝いをしながらも、生き返ったすずに一緒に生きようと懇願する。
400年もの辛い記憶を背負ったすずはそれを受け入れられない。
ある日彼女は、確実に死ねる方法を思いつくが…。
この漫画はすごい!
一話目で引き込まれました。
最初にバッドエンドを見せてしまう。
二話目からは、その結末に至った二人の過去に遡っていくという構成。
あぁ。
アカンやつや。
先に結果が分かってしまってるやん。
キャラクターに感情移入すればするほど悲しいヤツやん。
…と、思って読み進めました。
2巻に入ると。
うん?
そうじゃないかのか??
これってどうなるんだ!
という展開になっていきます。
むうう。
これ以上は書けません。
ラストは読んで確かめて欲しい。
この結末がアリなのかどうか。
二人がどうなったのか…。
すずが不老不死になった原因や細かい謎は置いてけぼり。
4歳から不死だったのに、なぜ20代の姿で止まったのか?
好きになった女性を、いくら不老不死だとわかっていても、自死(首を切っちゃう!?)の手伝いまで出来るのか?
等々。
疑問の残る点はありますが、2巻完結というスピード感では、細かいとこ気にしてたら面白くないですし!
この物語はこれでいいんだと思います。
作画はまだ荒いとこもあり。
でも見せ方が上手い。
暗くなりがちな「不老不死」というテーマですから。
あえてコメディタッチで描いている気がしました。
自死をするシーンが多いので、あまり緻密にグロく描かれても嫌ですしね。
結果、良いバランスなのかな?
そして表紙です。
普段、このサイトでは何巻あろうが表紙を1巻の一枚だけ掲載しています。
しかし、今回はどうしても1巻2巻、2枚を同時に並べたかった。
泣き笑いのような表情でブランコを漕ぐ二人。
ブランコは常にすれ違う。
同じタイミングで動く瞬間があっても、それも束の間。
この物語を表している、秀逸なデザインだと思いました。
さて、評価は?
これは、ぜひ読んでほしいです!
なので【星9つ】。
作者の山うた先生はこれが初のコミック。
なんて才能だ!
今後が楽しみなクリエーターの登場です。
次回作をがっつり期待しちゃいましょう!
山うた先生の個人のページで、Web版時の一話目が読めます。
コミック版はこれより絵が修正されていますが、内容は同じです。