ピンキーは二度ベルを鳴らす

No.282
カテゴリ:ドラマ・サスペンス
オススメ度8 ★★★★★★★★☆☆
著者:うめざわしゅん
出版社: 小学館
発売日:2016/8/12(1巻)
巻数:1巻以下続刊

「同情は善意の悪癖だ」

ショートショート界、屈指のストーリーテラー。

うめざわしゅん先生の新作はなんとシリーズもの。

それがこの「ピンキーは二度ベルを鳴らす」です。

あらすじ

硫酸ピンキーと呼ばれる、その男――
街を、闇を、命を切り裂く。

闇社会の事件解決人である彼の元には
今日もワケあり女が駆け込む!


感 想
男の美学。
悪の美学。

あぁ。相変わらず。
人間の深い業を描くのがうまい。

見た目は小さなオッサンのヤクザ。
今作の主人公「リトルピンキー」。

このピンキーがかっこいい!

ストライプのスーツをパリッと着こなし、鋭い眼光で葉巻をくわえる。
でも、そのビジュアルがかっこいいわけではありません。

その生き様。
まさにハードボイルド。

ピンキーの筋の通った悪。
決して崩さない己の信念。

これがたまらなくいい。

今作は「ピンキー」を主人公にしたオムニバスシリーズです。


ピンキーって?

2011年に刊行された短編集「一匹と九十九匹と」。
その1巻に収録された「OVER DOSE」で初登場。

その後、好評を博したのか。
著者が気に入ったのか。

何度かシリーズ物として描き下ろされてきました。

リトルピンキー。
新宿を根城とするヤクザ。
背丈は子供ほど。
胸に硫酸を忍ばせ持ち歩いている。

チーフ。
聾啞の大男。
忠実なピンキーの部下。


あらすじ&1カット

収録作品は以下の5編。

1. OVERTURE
2. OVERDOSE
3. OVERSELL
4. OVERFAKE(前・後編)
5. OVERCOME

ピックアップでご紹介。

2. OVER DOSE

ピンキーシリーズの最初のエピソード。
ピンキーの店に新人として入ってきた「まりん」。
彼女とその息子とも仲良くなるピンキーだったが…。

3. OVER SELL

危険ドラッグの回収を分家のヤクザから依頼を受けたピンキー。
街での案内役に家出の女子高生を指名するが…。

4. OVER FAKE

ある売春婦の送迎を任されたピンキー。
ヤクザのVIPを相手にするその娘の正体は…。


いちいちセリフがかっこいい!

何と言っても。

見どころはハードボイルドなそのセリフ回し。

「かわいい」と言われるとキレるその理由。
自分を粗末に扱う娘に対して言い放つ。
中途半端な同情を断罪するこの名ゼリフ。

小っちゃな背中が渋すぎ。

ピンキーは決して善人ではありません。

しかし貫く悪の美学。

そこには弱いものを助けるという「任侠」の精神が息づいています。


さて、評価は?

現在刊行されているうめざわ作品はすべて短編集。
その中で唯一、シリーズものとなったこの新作リトルピンキー。

嬉しいのは表紙のナンバリング。
1巻となっています。

ということは?
2巻へ続くということ。

まだまだピンキーの活躍が見れますね。
嬉しい限り。

オムニバスとはいえ初のシリーズもの。
何巻まで続くのか!?

期待と願いを込めて。
ここは超オススメのは【星8つ】です。

さて。
次巻がいつになるかはわかりませんが…。

気長に待っておこうと思います。

2巻が出る前にうめざわ先生の消息がプツリと途絶えませんように。。

1巻から読む
(2016〜)


【その他のうめざわしゅん作品】

パンティストッキングのような空の下
(2015)

一匹と九十九匹と 全2巻
(2011〜2012)
記事を読む

ユートピアズ
(2006)
記事を読む

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