No.331
カテゴリ:ファンタジー
オススメ度10 ★★★★★★★★★★
著者:つくしあきひと
出版社: 竹書房
発売日:2013/7/31(1巻)
巻数:1~6巻以下続刊
「どこから来たの…」
その圧倒的なビジュアルと世界観の深さで。
SF・ファンタジー漫画好きの心をがっつり掴んで離さない。
そんな作品があります。
それがこの「メイドインアビス」です。
あらすじ
どこまで続くとも知れない深く巨大な穴「アビス」。
奇妙奇怪な生物たちが生息し、今の人類では作りえない貴重な遺物が眠っていた。
アビスの縁に築かれた街『オース』に暮らす孤児のリコ。
いつか母のような偉大な探窟家になり、アビスの謎を解き明かすことを夢見ていた。
そんなある日、リコはアビスを探窟中に、少年の姿をしたロボットを拾うが…?
ここ数年の読んだ中で。
ファンタジーカテゴリでは一押し!
世界観のビジュアル的構築が素晴らしい。
ドキドキワクワクが止まらない。
冒険心をぐいぐい刺激します!
よくぞここまで!
細部に至るまで作り込んでるな〜
と感嘆するばかり。
可愛いキャラたち。
幻想的な地下世界の背景。
見たこともないような原生生物。
不思議な遺物の数々。
すごい!!
そして、圧倒的な世界観あるビジュアルに支えられた、深いストーリー。
好奇心を煽る、アドベンチャーだけではありません。
暗く、重く。
そして心の芯に届くほど悲しい展開もある。
なんだよ。これ。
面白くてすごい!!
アビスな人たち。
リコ。
孤児院で暮らす天真爛漫な少女。
母親は伝説級の探窟家。
ある日、探窟中にレグを見つける。
レグ。
機械の体を持つ少年。
記憶をなくしてしまっている。
アビス史上、最も価値のある遺物かもしれない存在。
ナナチ。
3巻で登場。リコたちの命を救う。
その後、冒険を共にする仲間となる。
アビスとは?
アビス = Abyss = 深淵。
1900年前に突如発見された広大な縦穴。
直径1000m。
その深部には数々の不思議な遺物が眠っている。
探窟家たちが1900年をかけて、徐々に深部を探索してきました。
深界七層まで確認されています。
ただし六層より下は、二度と帰って来られないとされています。
アビスの呪いとは?
物語の各所で重要なファクターとして「アビスの呪い」というワードが出てきます。
アビスというこの縦穴。
下りるはOK!
登るはNG!
どういうこと?
下りるのは大丈夫ですが「登る」時に体に負荷がかかります。
深く潜るほど、それは大きくなります。
深く潜った箇所なら、少しの段差を反対に登ってしまうと…!
それだけで、死への危険があるほど。
これは怖い!
そして、この「呪い」が物語の各所で、数々の試練を生み出していきます。
深くなるほど暗く。
1巻では、不思議なアビスの世界を丁寧に描きます。
好奇心がウズウズしっぱなし。
この序章での伏線が後々明らかになっていきます。
2巻では、主人公一行の深淵への冒険行がスタート。
これがまた、未知なる世界がいっぱい。
どんどんと高揚感に包まれます。
そして。
リコとレグがアビスに深く深く潜るほど。
物語もそのディープさを増していきます。
2巻終盤から3巻にかけて。
物語はその真の姿を見せ始めます。
ハラハラ、ドキドキ、ワクワクだけじゃない。
アビスの真の姿。
その怖さ。そのグロさ。
目を背けてしまいたくなるような。
そんな重く悲しい展開も入ってきます。
だからこそ。
この物語は不思議な魅力を放ちます。
可愛らしくもあり。
可笑しくもあり。
たまらなく悲惨でもあり。
絶望的ながら底抜けに明るい。
なんなんだ!?
この奇跡のバランスは何なんだろう!?
メイドイン・アビスの意味。
潜っても帰れない。
それがアビスの深淵への道。
その深淵から生まれ、地上へと戻った存在。
「メイド・イン・アビス」の存在。
リコの出生の秘密と。
レグの正体と。
それが徐々に明かされていきます。
タイトルの「メイドインアビス」の持つ意味がどのような結末に結びつくのか。
ここでは書きません。
本編で是非お確かめ下さい。
さて、評価は?
作画のタッチは表紙を見ても分かるように「可愛らしい」。
若干、萌えと言ってもいいほど。
かと思えば、それをもかき消すほどのグロく鬱な作画もあり。
好みが分かれるかもしれません。
そして地下に広がる想像を絶する世界。
その地下世界は、本来ならこんなにカラフルなのです。
(*2巻の表紙から)
モノクロなのが残念に思えてしまう。
まぁ、全編カラーだと著者さんが死んでしまいますので(笑)
そこはアニメ版に期待したいところ。
とにかく文句なく面白い。
これほど緻密なファンタジー漫画はそうそうない。
どっぷりとその世界に浸らせてくれます。
既刊6巻。
このペースなら10巻くらいまで続きそうかな?
完結したところでつけるのがベストなのですが…。
素晴らしすぎなので、まだ途中ですが【星10】とさせて頂きます。
このまま唯一無二のファンタジーとして描き切ってほしい。
そう切に願う作品です。