No.274
カテゴリ:SF/ファンタジー
オススメ度9 ★★★★★★★★★☆
著者:原作:ジュール・ヴェルヌ 作画:倉薗紀彦
出版社: KADOKAWA / エンターブレイン
発売日:2016/3/25(1巻)
巻数:1〜3巻以下続刊
「なんて美しい…」
ジュール・ヴェルヌの不朽の名作のコミカライズ。
映画「センター・オブ・ジ・アース」の原作としても有名ですね。
まさに冒険ロマンの元祖!!
それがこの「地底旅行」です。
あらすじ
鉱物学の世界的権威リーデン・ブロック教授は、十六世紀アイスランドの錬金術師が残した謎の古文書を手にする。
甥のアクセルと古文書の解読に成功した教授。
それはなんとアイスランドの死火山の噴火口から、地球の中心へ辿り着けけることを示していた。
かくして、教授とアクセル、そして有能なガイド・ハンスとともに、一行は地底世界の大冒険旅行に出発した…。
ひっさびさに!
胸躍る!とはこのことかなと。
どうしましょう!
ワクワクが止まらない。
とにかく物語がよくできています。
次のページでは何が起こるのか?
あのドキドキ感。
子供心に感じた空想世界への憧憬。
地底の奥深くに広がる驚愕の世界。
とっても面白いです。
地底旅行な人たち。
アクセル。
リーデン博士の甥。
物語の語り部の役を担う。
古文書の解読に成功する。
リーデン・ブロック博士。
鉱物学の世界的権威。
あくなき探究心の塊。
ともすれば猛進してしまう危険もある。
ハンス。
現地で雇った案内人。
屈強で無口だが冷静で有能。
まさに冒険譚!!
物語は王道の冒険ファンタジー!!
凝った設定や、読者を裏切る展開など必要なし。
純粋に。圧倒的に。
ぐいぐいとストーリーが進んでいきます。
古文書に残された火口から下りていきます。
150年前です。
機械など使わず。
ロープを使って人間の力のみ。
そして待ち受ける地下世界。
目まぐるしく変わる地底の景色。
地下での閉塞感と「戻れない」という恐怖感。
しかし、その恐怖をも凌駕する好奇心。
この恐怖と好奇が絶え間なくさざ波のように襲ってきます。
もうこのあたりからワクワクしっぱなし!
次々と捲き起こる展開。
水がない!!
生き埋めに!!
そして待ち受ける驚愕の景色!!
「地面の下に、遙か広大な地底世界が広がっている」
今でこそ古典的なSFの設定の一つとなっていますが。
その発想の全てはこの「地底旅行」から始まっています。
2巻では、小説の表紙にもなっている、かの有名な「きのこの森」が出てきます。
ジュール・ヴェルヌって?
1828〜1905
「海底二万里」「八十日間世界一周」がなどが有名ですね。
もちろんこの「地底旅行」もそうです。
150年も前に活躍したフランスの小説家です。
サイエンス・フィクション、SFの父と呼ばれています。
ジュール・ヴェルヌって聞くと、児童向け作品をイメージする人も多いですよね?
ですがその作品を読むとわかります。
壮大な世界。心躍る冒険譚。
しかし荒唐無稽なファンタジーではありません。
決して非科学的なアプローチをしないそのスタイル。
科学、地理学、地質学、古生物学など、その知識は多岐にわたります。
この「地底旅行」の発表はなんと1864年。
150年前ですよ?
日本は幕末、明治維新のさらに前です。
その時代に、この発想!!
当時の最新科学に基づいて描かれる世界観。
これほどの内容を描いたことに、ただ驚くばかり。
さて、評価は?
著者の倉薗先生の作品を読むのは「彗星★少年団」以来です。
元々すっきり綺麗な作画でしたが、さらに作画クオリティが上がっています。
特に今回感心したのが、150年前の空気感の再現性。
建物、景色、衣装や小物。
細かいところまで世界観バッチリ。
安心して作品の世界に浸れます。
小説ではややゆっくりと描かれる序盤を、漫画版ではサクサクと進め、冒険譚をメインにしています。
現在既刊3巻。
このペースだと、次で完結くらいかな?
映画化もされ有名な作品ですので、お話自体は知っている方が多いかもしれません。
話の筋を知っていても。
それでもなお、楽しめます。
最終判断は完結してからにするとして。
すでに【星9つ】でオススメしたい。
SF、ファンタジー好きな方ならぜひ手にとって頂きたい作品です。
【その他の倉薗紀彦作品】
彗星★少年団
(2014)
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