疾風の勇人

No.273
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン/歴史
オススメ度8 ★★★★★★★★☆☆
著者:大和田秀樹
出版社: 講談社
発売日:2016/5/23(1巻)
巻数:1〜5巻以下続刊

「Go Home Quickly!!」

歴史漫画はたくさんあります。

しかし!

戦後の日本。
いわゆる近代史と呼ばれる時代を描いたのはそんなにない。

太平洋戦争後、敗戦のショックからの日本を立て直した政治家たちの活躍を描いたのが。

それがこの「疾風の勇人」です。

あらすじ

1947年。終わりの見えない占領が続く日本。

復興財源をかき集める大蔵省次官・池田勇人。

その前に現れた吉田茂。
「GHQを追い出し日本を独立させる!」

池田は吉田と行動を共にすることを決意するが…!?


感 想

いや。
前から気にはなってたんです。この作品。

でも見てください、この1巻の表紙。

なんだか胡散臭い(笑)

ネタっぽいな〜と思って…。
なので今まで読まずにおりました。

ゴメンなさい!

なんだこれ?
めちゃくちゃ面白い!

ふざけたギャグテイストの作品が多い印象の大和田先生。

なんのなんの!
今作は、かなり真面目な近代史漫画です!


 池田勇人をご存知ですか?

吉田茂、佐藤栄作、田中角栄。

今の若い人でも、この3人の名前は聞いたことがあるはず。

その同じ時代に活躍した政治家です。

しかし池田勇人は、その活躍に比べ、上記の3人よりも認知度が低い気がします。

それもそのはず。

「映画や小説で取り上げられたことのない人物」ということで、著者は「池田勇人」を主役に描こうと思い立ったそうです。

その目の付け所がすごい!


疾風な人たち。

池田勇人。
元大蔵省の官僚。
吉田茂の勧誘で政治家に転身。
「数字の鬼」「税の鬼」と呼ばれた。

吉田茂。
「サンフランシスコ講和條約」「日米安保条約」を実現させる。

佐藤栄作。
元運輸相の官僚。
池田の旧友。同じく吉田茂の勧誘で政治家に転身。

田中角栄。
「日中国交正常化」「日本列島改造論」「ロッキード事件」。
おそらく戦後の日本で最も有名な首相。


戦後の近代日本史を政治家の視点で。

敗戦直後の日本。
その混乱を極めた時代。

「アメリカに占領された姿」などという。
安易に卑屈な目線で描くのではなく。

当時の東西冷戦へと向かう世界情勢。
やがて勃発する朝鮮戦争。
自由主義国の西の壁として自立を求められた日本。
日本の立場。アメリカの思惑。
まさに命をかけた政治家たちの奮闘。

主人公の池田勇人ももちろんですが、吉田茂のキャラがいい!

懐の薬籠に青酸カリを忍ばせ、講和が成らなければ命を絶つ。
その覚悟たるや。

ぬるいことを言ったら。

ステッキでバッシーーーン!!

この主人公を食う勢いの存在感がハンパない。


さて、評価は?

ストーリーはケレン味にあふれています。

熱く、大げさ

でもそれがいい!

感情むき出し(笑)
男泣き!

表現的に多分にフィクション要素も入ってると思います。

ですが、きっとあの時代。
戦後からの復興に日本中がたぎっていた時代。

こういうものなのでしょう。

この紙面から感じる勢いが心地よい。
読んでいて体の体温が上がるのを感じます!

既刊5巻。

現在、物語は最初の山場。
「日米安保」を結ぶところまで来ています。

衆議院議員初当選から11年で首相に上り詰め、退任後間もなく死去した池田勇人。
疾風となり駆け抜けたその生涯。

果たして何巻完結で描かれるのか!?

これはきっと、近代史漫画に残る熱い作品になりそうな予感です。

まだまだ続きます。
絶対面白い。

【星8つ】でオススメです。

1巻から読む
(2016〜)


【その他の大和田秀樹作品】

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(2015)

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