No.276
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン
オススメ度6 ★★★★★★☆☆☆☆
著者:乾良彦
出版社: 少年画報社
発売日:2017/3/27(1巻)
巻数:1巻以下続刊
「何があっても この手をはなさない」
泣けるゾンビ漫画!
って、なんだ?
今や巷にあふれるゾンビ漫画。
いかにゾンビを倒すか?
喰われちゃダメ!絶対。
そんな作品ばかりです。
そんなゾンビ漫画界に一石を投じるこの作品。
それがこの「ワンダフルワンダーワールド」です。
あらすじ
もしあなたの大事な人家族がゾンビになってしまったら…!?
ゾンビをテーマに家族愛・絆を描く新感覚の泣けるゾンビ漫画。
人間愛 ✖️ ゾンビ。
なんだこれ?
ゾンビなのにいい話!?
本作はゾンビをテーマに描くオムニバス人間ドラマです。
この切り口は確かに新しい!
相反した素材が混ざり合い、見事なハーモニーを生み出しています。
この作品にはヒーローもヒロインも出てきません。
主役となるのは普通の人々。
その人たちがゾンビになってしまう過程を描きます。
大切な人がゾンビになってしまったら、どうするのか?
漫画や映画やドラマのように。
割り切ってすぐに頭を潰すなんてこと…。
できないよね。
そう。できないんです。
そんな普通の人々の悲しく切なく暖かいエピソード。
1話完結のオムニバスストーリーです。
あらすじ&1カット
収録作品は6編。
ピックアップでご紹介。
1. ヒマワリ畑
結婚10年を迎えた俊明と奈那子夫婦。
いつしかすれ違い、破局を迎えようとしていた。
そんな矢先、帰宅すると奈那子は死んでいたのだが…。
2. 父親の背中
家で娘に邪険にあしらわれるお父さん。
ある日出勤途中に手に歯型がついているのに気づくが…。
父と娘のストーリー。
3. ウエディングドレス
結婚式を目前に控えたある日。
突然に新婦の彩と連絡が取れなくなる。
新郎カズは必死に行方を探すが…。
5. 監禁
女子高生・茜が目をさますと、そこは知らない地下室。
目の前にいたのは親友・志穂の父だった…。
パンデミック前夜か?
ゾンビといえば。
喰われればゾンビとなる…。
ゾンビがゾンビを増やしていく。
感染が拡大していく恐怖のパンデミックホラー。
そうなると社会は崩壊し、人間はサバイバルを余儀なくされる。
と、これが定番展開なのですが…。
今作では、まだそのパンデミックは起こっていません。
社会機能も崩壊していません。
まだ一般には「ゾンビ」は認知されておらず。
ゾンビになってしまった人は、自分が何故、その状態になったのかもわからない。
壮大な体調不良、と思い込んでいるレベルです。
電車に乗った後で手にうっすら歯型がついて出血していても、それが「ゾンビに噛まれた痕」とは思わない。
このあたりはゾンビものというより、日常の感覚に近くして読んだ方がしっくりくるはず。
想像してください。
あなたが電車から降りた時に、手に歯型がついてたら…。
変質者のせいか!って思いません?
まさかゾンビとは思わないはず。
さて、評価は?
この作品にはゾンビ特有のグロテスクなシーンはあまりありません。
サバイバル展開もほとんどありません。
ホラー好きには物足りないかも。
6話収録。
ほぼ1話完結のエピソード。
各エピソードはよくできています。
一気に読みきりました。
ただ1話完結なので、短さゆえのドラマ性の浅さが気になるところ。
1巻の最後だけ続きのエピソードとなり、2巻への「引き」となっています。
今後は数話続くエピソードが増えてくるかな?
もう少し深く掘り下げたドラマも見てみたい。
ということで。
まずは様子見の【星6つ】でオススメです。
ハートフル・ゾンビ漫画という着眼点は面白い!
これからもっと面白くなるのかどうか。
次巻に注目です。
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