バオー来訪者

No.332
カテゴリ:ダークファンタジー
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆
著者:荒木飛呂彦
出版社: 集英社
発売日:1985/9/(1巻)
巻数:2巻完結

「バルバルバルバル!!」

何十年経っても色褪せない。

そんな作品を、人は名作と呼びます。

恐ろしい容姿の悲しきダークヒーロー。

それがこの「バオー来訪者」です。

あらすじ

秘密機関“ドレス”が創り出した最強の生物兵器・バオー。
橋沢育朗に寄生し、超能力少女・スミレと共にドレスから脱走したバオーに、暗殺者たちが次々と襲いかかる。
その時、育朗の中に眠る無敵の生命・バオーが覚醒する!!


感 想

いや〜ひざびさに。
急に読みたくなったんです。

やっぱ、カッコイイわ。

連載開始は1984年。

著者は「ジョジョの奇妙な冒険」で有名な荒木飛呂彦先生。
今でこそ知らない人はいない、というほどの大御所漫画家さんとなりました。

でも「バオー」連載当時はまだ無名に近い存在でした。

当時、僕は小学生。
「ジャンプ」をリアルタイムで読んでいた時です。

連載開始当時の1984年45号ジャンプの表紙。

見開きページのインパクトは忘れられません!

あ、青い?
こ、怖い!?

当時の変身ヒーローといえば、いかにも「正義の味方」っぽいものばかり。
デザインもシュッとして、色も明るく。

それが当時のヒーロー像でした。

それが、主人公が青くて怪物のような容姿です。
しかも変身の原因が寄生虫の仕業とか(笑)

何から何まで新しく衝撃的だったのを覚えています。

初めて「ダークヒーロー」というものを認識したのが「バオー来訪者」だったかもしれません。


来訪者な人たち。

橋沢育朗(いくろう)。
研究機関ドレスの実験体としてバオーを寄生させられた少年。
偶然スミレの手によって目覚め、以降スミレと共に「ドレス」の刺客から追われることとなる。

育朗のバオー変身時。

スミレ。
予知能力の素質をドレスに認められた少女。
移送中「ドレス」の列車からバオーとともに逃亡する。

霞の目(かすみのめ)博士。
ドレスの研究者で、寄生虫バオーの生みの親。
マッドサイエンティスト。

バオー(BAOH)
生物兵器の寄生虫。体長40cmほど。
脳内に寄生する。
宿主の身に危険が迫ると武装現象を引き起こす。


バオーのかっこよさって?

ストーリーは単純明快。

組織の人体実験で生物兵器となった主人公とヒロインの逃避行。

襲い来る悪の組織の刺客を倒しながら、ついには組織自体をぶっ潰すというもの。

勧善懲悪。
ひねりも何もない。

そんな単純なストーリーなのに。

なぜこんなにかっこいいのか。
なぜこんなに惹きつけられるのか。

それはきっと。

技のかっこよさかも。


これが武装現象だ!

バオー武装現象(バオー・アームド・フェノメノン)

何これ!覚えにくっ!!

と思った記憶が(笑)。

やたら大げさな表現と格式ばった技の名前。
今でこそ普通ですが、当時はこれも新しく感じました。

2巻というボリュームの中で、次々飛び出す武装現象。

いってみましょう!

バオー・メルテッディン・パルム・フェノメノン
手から溶解液を出すぞ!
バオー・リスキニハーデン・セイバー・フェノメノン
腕から刃が飛び出るぞ!
バオー・ブレイク・ダーク・サンダー・フェノメノン
腕から6000Vの電気を出すぞ!

かっこええ。

でも、名前なげぇ(笑)

ジョジョの原型とも言える。

荒木先生といえば「ジョジョ」。
「ジョジョ」といえば?

その独特のポージング「ジョジョ立ち」や。
インパクトあるユニークな擬音の数々。

それらすべてが。
すでに「バオー」で出てきてるんですよね。

まず2巻の表紙。

完全にジョジョ立ちです。

ちなみにジョジョの2巻の表紙。

おおう。完全に一致!

そしてバオーのうめき声。

「ウオオオオオム」
「バルバルバルバル」
この紙面いっぱいの擬音!!

これです、これ!

「バルバルバルバル」から
「オラオラオラオラ」へ
「無駄無駄無駄無駄」へと。

*ジョジョ第5部より

繋がっていくわけですね(笑)


さて、評価は?

全9話、2巻完結。

当時、だんだんと掲載順が後ろになっていくのは「終わる合図だ」というのは小学生ながらに知っていました。

バオーも連載が進むにつれ、だんだんと後ろに下がっていったと記憶してます。

すごく面白いのに。
人気ないのかなぁ…?

なんて思っていたような気が。

やがて「打ち切り」のように終わってしまいます。

後年になって「打ち切り」ではなく「想定通りの構成」だったのでは?と推測されていますが、果たしてどうなのでしょう?

ただ、そのバオーの終了によって、2年後に「ジョジョ」が生まれるわけで。
この物語はここで終了でよかったのかもしれません。

かっこよくて悲しい物語。
しかし、そのエピローグは希望を感じさせる優しい終幕。

ひょっとして何十年経っての「バオーの復活」はあるのか!?

久々に読んで、若き荒木先生の才能を改めて感じました。
ぜひオススメしたい【星7つ】。

ジョジョファンの人も、そうでない人も。

この隠れた傑作を読んでみて頂きたい。

新装版全1巻を読む
(1985)


【その他の荒木飛呂彦 作品】

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