No.275
カテゴリ:SF
オススメ度8 ★★★★★★★★☆☆
著者:原作:鈴木鈴(GoRA) 作画:佐藤ミト
出版社: 講談社
発売日:2016/4/15(1巻)
巻数:1~3巻以下続刊
「ここが僕の最前線だ!」
正統派SFバディ漫画キターーーー!!
少年とロボットのタッグ。
古今東西、何度も描かれてきました。
さぁ、面白いのか?
期待に胸膨らませ、手に取りました。
それがこの「誓約のフロントライン」です。
あらすじ
人類抹殺を誓約とし、次元跳躍を続けるアナイアレイター。
塞が住まうアース8731に出現。
塞を殺そうとするが、自機の行動に命令を下せるコマンドユニットを塞に掌握されてしまう。
地球の存亡をかけ、決して交わらぬタッグが人類抹殺を誓う後続機達との戦いの最前線に立つ。
内気な少年 ✖️ ロボット!
うん、大好き!
敵の次元跳躍の瞬間に少年が居合わせる!
そして唯一の命令を下せるコマンドユニットを少年が握ってしまう!
なんという確率でしょう!
物語はそんなご都合主義でスタート。
でも、いいんです!
内気な少年のはずが、すぐに戦いへ身を投じる決心をする。
その選択への苦悩や葛藤。
細かい心理描写はほとんどなし。
でも、いいんです!!
「ここが僕の最前線だ!」
なんて厨二的なセリフ回し。
ともすれば。
「ダサく」なってしまいそうな最前線(フロントライン)。
でも、いいんです!!
SF的な展開の早さ。
シナリオの旨さ。
秀逸なメカニカルデザイン。
ダサくなるギリギリをかわして着地。
そして始まるワクワク。
面白くなりそうな予感がプンプン。
最前線(フロントライン)な人たち。
綾辻 塞(さい)。
アナイアレイターが次元跳躍してきた場面に居合わせる。
その命令コマンドユニットを偶然手にする。
アナイアレイター。
マローダーと呼ばれる人類抹殺を誓約とするロボット。
いくつものパラレルワールドを先遣隊として潰してきた。
犬猿のバディ?
今作の設定で面白いのは、パートナーが協力的ではないこと。
次元跳躍し、分子を再構成する際に、少年の持つ携帯と命令コマンドユニットが融合してしまいます。
ロボはいつでも少年を殺したい。
だがロボゆえに命令コマンドが最優先。
そして生まれるこの決めセリフ。
嫌々です(笑)
なぜに人類抹殺?
あのSFの名作「ぼくらの」に設定が近いです。
ゼロアースと呼ばれる上位地球が、その末端の枝となる平行世界の地球の「枝切り」をしています。
それが「人類抹殺」ということにあたります。
このあたりの説明は本作では詳しくされません。
「ぼくらの」を読んでいるとしっくりくるんですけどね。
いわゆる「パラレルワールド同士の争い」というSF設定を読者が知っているという大前提に描かれている気がします。
見どころは?
やはり次々と現れるマローダー(敵)との戦いです。
様々なタイプ、特徴を備えたマローダーが次元跳躍してきます。
それを迎え撃つ、主人公タッグという図式。
ロボとのバディもので言いますと、最近では「BUSTER DRESS」がありますね。
あちらはロボ(A.I)自体に少年が乗り込むという設定。
このアナイアレイターは少年より少し大きいくらい。
乗り込みません。
ロボと少年は別々に動きます。
その二人分の機動力を生かした作戦展開。
勝率を最優先に作戦を立てるアナイアレイター。
不可能な勝率を意外性で覆す塞。
人間と機械のタッグ。
まさにバディ!
さて、評価は?
とにかく 佐藤ミト先生の作画が良い!
人物キャラのくだけた感じと、ロボットの硬質な感じが見事に融合。
メカニックデザインが分かれているのも、この良さを引き立てています。
そしてシナリオ。
まさにロボットアニメのような王道展開。
「人類を守る」という大きなテーマの割に悲壮感はありません。
コメディタッチに進んでいくところもあり。
テンポよく物語は進んでいきます。
既刊3巻。
3巻では新しい登場人物も増え、ストーリーが大きく展開していきます。
まだまだ面白くなりそうだぞ!
ということで。
正統派ロボットSF好きの皆様に【星8つ】で超オススメです。
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