No.391
カテゴリ:ドラマ・サスペンス
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆
著者:東元俊哉
出版社: 講談社
発売日:2017/9/22(1巻)
巻数:1〜2巻以下続刊
「ここ…どこだ…?」
SF・クライムサスペンスの登場です!
過去にタイムスリップして、ある未解決事件の謎を追うストーリー。
それがこの「テセウスの船」です。
あらすじ
1989年6月24日、北海道・音臼村の小学校で、児童含む21人が毒殺された。
逮捕されたのは、村の警察官だった佐野文吾。
28年後、佐野の息子・田村心は、死刑判決を受けてなお一貫して無罪を主張する父親に冤罪の可能性を感じ、独自に調査を始める。
事件現場を訪れた心は、突如発生した濃霧に包まれ、気付くと1989年にタイムスリップしていた…。
本格クライムサスペンス!
と言っておきながら。。
タイムスリップします。
まず、この設定が受け入れらるかどうか。
なんでやねんっ!
なんて突っ込んでしまえば、そこで物語は終わります。
過去にタイムスリップした主人公が、事件の犯人とされた父の冤罪を晴らすべく奮闘するストーリー。
他に真犯人がいるのではないか?
最初こそ荒唐無稽に始まるものの。
中々に引き込まれます。
これは面白くなりそうな予感。
テセウスな人たち
田村心。
28歳。佐野の息子。上に姉と兄がいる。
生まれる前に父・文吾が逮捕されたため、父の顔を知らない。
母方の姓を名乗っている。
佐野文吾。(28年前)
音臼村の警察官。
28年前の無差別殺人事件の犯人とされている。
佐野和子。(28年前)
佐野文吾の妻で、心の母親。
行き場のなかった心を居候として受け入れる。
これは冤罪なのか?
28年前、北海道・音臼村の小学校でおこった無差別毒殺事件。
児童を含む21人もの人間が犠牲に。
当時、村の警察官であった主人公の父が逮捕されます。
一貫して無罪を主張するも死刑が確定。
マスコミから、世間から。
殺人犯の家族として追われる日々。
家族はバラバラとなってしまいます。
そして時は流れ。
28年後の東京から物語は始まります。
ひっそりと身を隠すように生きている、田村心。
父の顔は知らず。
殺人犯の息子という十字架を背負って生きて来た28年間。
しかし、そんな彼も結婚して。
まもなく、子供も生まれてくる。
やっと幸せを掴もうとした矢先に。。
奥さんは子供の命と引き換えに逝ってしまいます。
最愛の人を亡くし、抜け殻のようになって過ごす心。
そこで、奥さんの残した遺品を見つけます。
それは、佐野文吾の冤罪を疑い、独自に調べていたノート。
残された赤ちゃんのため。
殺人犯の家族であるという汚名を晴らすため。
心は父の冤罪の可能性を調べるために28年前の事件現場へ向かいます。
慰霊碑が立つ、更地になった何もない小学校跡。
そこへ突然の霧が発生。
気づけば……そこは?
28年前の音臼小学校の前!?
タァーーーイム!
スリッィィーープ!
さぁ、サスペンス劇場の開幕です!
そして「相棒」なのか?
28年前の音臼村を彷徨う心。
偶然通りかかった道で。
雪かき中に足を滑らした少女を助けます。
それが佐野の娘、鈴。
つまり自分の姉。
病院に駆けつける娘の父・佐野文吾。
そこで、初めて心は、かつての父と対面します。
それがきっかけで、心は佐野家族の家に居候することに。
・・・と。
かなりご都合主義な流れは感じつつ。
自分の正体は開かせない心。
心を訝しみながらも、不思議な繋がりを感じる文吾。
なんやかんやあって。
二人はやがて通じ合います。
未来から来たという素性を明かすと、すんなり信じる文吾。
しかしこれから起こる大事件と、自分が息子だということは伏せたまま。
今、村では不審な事故や事件が続いている。
それを防ぎたい文吾。
それが真犯人の仕業ではないかと疑う心。
二人で協力して事件を未然に防ぐ。
ついに相棒、親子Verが結成となります。
さて、評価は?
安定の画力。
構成も上手い。
「サスペンス慣れ」している、この描き方。
しかし、著者の作品は本作のみ。
なんだと!驚異の新人か?
いえいえ。
著者の東元俊哉先生は、「バウンスアウト」「破道の門」の東元俊也先生の別名義。
俊也から俊哉に。
って、ややこしいわ!
最初は誤植かと思ってしまった(笑)
なんで一文字だけ変えたペンネームなんだろう?
まぁ、その謎は置いておき。
タイムスリップして事件を解決する。
確かにこれは、大ヒットした「僕だけがいない街」をどこか彷彿とさせます。
SF・クライム・サスペンス。
一つの新たなジャンルとなっていきそうです。
まだまだ序盤。これから面白くなっていきそう。
まずは【星7つ】でオススメです。
これは結末まで見届けたい。
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