No.300
カテゴリ:ドラマ・サスペンス
オススメ度9 ★★★★★★★★★☆
著者:原作:高田侑 作画:落合裕介
出版社: 少年画報社
発売日:2014/9/22(1巻)
巻数:3巻完結
「うなぎってのはタンパク質なら なんでも喰っちまうんだそうだ」
インパクトありすぎのこの表紙!!
すでに怪しいオーラが漂ってます。
一時期、電子書籍の広告でよく出てました。
とっても気になったので読んでみました。
それがこの「うなぎ鬼」です。
あらすじ
借金に苦しんでいた倉見勝は千脇に拾われ裏稼業に励むことに。
勝に課せられた任務は重さが50~60キロのコンテナを「マルヨシ水産」に運ぶというものだった。
コンテナの中身とは一体…!?
この迫力はすごい!
同名小説のコミカライズです。
本格的なクライムサスペンス。
裏稼業に堕ちた男の行く末を描きます。
派手なドンパチがあるわけではありません。
カリスマ的な殺人鬼や殺し屋も出てきません。
ただ、ひたすらにリアル。
フィクションでありながら「どこか本当にある話じゃ…?」なんて思わせる。
そんな凄みがあります。
手に汗握る、という類ではなく。
気づけば、じっとり冷や汗をかいていたような。
そんな、ぞくりとする読後感。
ストーリーの秀逸さもさることながら、それを引き立てる落合先生の重厚な作画が素晴らしい。
重苦しく、閉塞感のある空気を見事に表現しています。
うなぎ鬼な人たち。
倉見勝。
借金で首が回らなくなり千脇に拾われる。
顔は怖いが不器用で小心者。
千脇。
千脇エンタープライズの社長。
借金の回収をさせるために倉見を引き取る。
裏の稼業を持つ謎の人物。
富田。
要領のいいイケメン。
千脇社長の元でデリヘルの運営を担当している。
秀さん
マルヨシ水産の社員。
電力会社で働いていた時の事故で顔に後遺症を持つ。
手当はひとり十五万。
ある日、社長から謎のコンテナの運搬を依頼されます。
中身は決して見てはいけない。
持ち逃げしても金にならない。
運び先はうなぎの養殖場。
⬇︎コレを運ぶと…。
こんなの怖すぎでしょう!
「黒牟」は何処かにあるかもしれない。
荷物の運搬先は「黒牟(くろむ)」という土地。
そこにうなぎの養殖場たるマルヨシ水産があります。
ここは本当に都内ですか?というくらい。
うらびれた閉鎖的な町。
マルヨシ水産の方たち。
荷物を運び終わった後。
そこのホルモン屋で鍋をご馳走になる倉見。
食べてると何か異物が。
じろり。
怖ええええ。
踏み込んじゃいけない場所。
この作品の怖さ。
それは「本当にありそうだ」と思わせる内容です。
絶対に関わってはいけない領域。
実際に存在するであろう闇。
それを垣間見たような気分になってしまいます。
自分たちが運ばされたモノは何だったのか?
ひょっとして「人間」ではなかったのか?
中身が分からない。
でも、確実に「〇〇」っぽい。
「何をさせられているか分からない」まま働く恐さ。
やがて疑心暗鬼に陥っていく男たち。
そして狂い始める日常。
じわじわと追い詰められていく様子に背筋が寒くなります。
そして破滅的な結末へ物語は進んでいくのか、どうか?
その驚きの結末は、ぜひ本編で確かめてみてください。
さて、評価は?
小説は未読です。
あくまで初めて読んだ漫画作品としての評価になります。
息の詰まるような表情。
重苦しい空気感。
この独特の怖さを描ききった作画の力が素晴らしい!
稀に見るクライムサスペンスの秀作だと思います。
3巻完結という無駄のない長さもいい。
これは読まなきゃもったいない。
ということで【星9つ】でオススメです。
肝が冷える感覚の怖さ。
ぜひ読んでみて頂きたい作品です。
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