No.105
カテゴリ:ドラマ・サスペンス/1巻完結
オススメ度5 ★★★★★☆☆☆☆☆著者:古屋兎丸
出版社: 太田出版
発売日:2013/10/16
巻数:1巻完結
「いっせーの せっ」
園子温監督の映画「自殺サークル」のコミカライズ。
古屋兎丸作品ということで手に取りました。
あらすじ
2001年5月31日、新宿で54人もの少女が電車にとびこみ集団自殺をした。
生存者はただひとり――その名は小夜。
事件の後、唯一の生き残りとして好奇の目にさらされる小夜。
傷ついた小夜を立ち直らせようと寄り添う、幼馴染の京子。
しかし小夜の心の闇は晴れない。
やがて彼女は病める少女たちのカリスマ的存在へと変貌していく…。
自殺を導く「光子」という謎の存在。
止めようと奔走する友人。
事件の全貌を知る怪しい教師。
と。
ミステリー要素たっぷりに始まり。
最初は引き込まれ、面白いかな?と思ったのですが…。
謎解ときはそれほど深くない。
これは1巻完結だから仕方のないところかなと。
鬱々となる読後感。
実は映画版を見ていません。
ですので映画版と漫画版の違いはわかりません。
あくまで一本の漫画作品として。
本作は1巻完結のミステリー短編漫画として読みました。
好きか嫌いか。
オススメできるか、どうかです。
なぜ少女たちは「死を選ぶ」ほど病んだのか?傷ついたのか?
その背景描写はほとんどありません。
動機を深く掘り下げない。
単に病みっぷりがメインで描かれているだけ。
そこに共感など何もできるはずもなく。
これは鬱になります。
よろしくない読後感。
好きではない。
古屋先生の独特の、シュールで毒っぽいユーモアは影を潜め、ひたすら暗い。
「怖い」でも「悲しい」でもなくただ「暗い」。
好き嫌いでいうと、嫌いだ。
こんな暗さは嫌いだ。
この作品を「現代の病める若者を上手く表現してる」などとは書かない。
そんなにみんな暗くないよ。
もっと若い人たち、楽しんでます。
さて、評価は?
ミステリーとしては物足りない。
登場人物も少ない。
あっさり終わる。
どんでん返しもない。
オチも読めちゃう。
なので星5つ。
ミステリーか、ホラーかに極端に振り切ってほしかった。
もっと5巻完結くらいに長くして、古屋先生節を全開に描いたら面白くなったんじゃないか!?
映画のコミカライズということなら無理かなぁ…。