僕たちがやりました

No.258
カテゴリ:ドラマ・サスペンス
オススメ度8 ★★★★★★★★☆☆
著者:原作:金城宗幸 作画:荒木光
出版社: 講談社
発売日:2015/9/4(1巻)
巻数:9巻完結

「え・・・・?」

ついに完結です。

若者のちょっとした悪戯が大変な大事件を起こしてしまう。

そのセンセーショナルな内容に惹かれ、1巻からずっと追いかけていました。

この作品は結末がどうなるのか。

それを見届けてからレビューを書こうと決めていました。

それがこの「僕たちがやりました」です。

あらすじ

トビオ、伊佐美、マル、そしてお金持ちのOB、パイセン。
4人は放課後、パイセンのお金で遊び歩く仲間。

ある日、マルが、矢波高校の不良にボコボコにされる。

仕返しに、矢波高校にお手製の爆弾を仕掛けたトビオたち。
少しだけ驚かせるつもりが大きな爆発が起きてしまう….。


感 想
9巻完結。

この結末。

おそらく賛否が分かれるはず。
そして著者もそれをわかった上で描いてるはず。

綺麗に終わったわけではありません。
スッキリとはしないこのラスト。

誰も幸せになれず。
報われず。

「そんなんものだ」と締めくくるラスト。

でも、だからこそ。

「罪を償うこと」の大切さを見せつけた気がします。

僕はこのラストを支持したい。

とても面白かった!

十分に読み応えのある全9巻でした。


やっちゃった人たち。

トビオ。
そこそこ幸せに楽しく生きたい。
要領よく過ごす平凡な高校生。

伊佐美。
同級生の遊び仲間。女癖が悪い。

マル。
同級生。小心者だが小狡い。
ある日、矢波高ともめボコられる。

パイセン。
トビオたちの高校のOB。
無職で友達なし。
親が超絶お金持ち。

この4人が爆弾を仕掛け、取り返しのつかない事態へ。


罪悪感という怪物。

⬇︎ ここからちょいネタバレありです。

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最終巻となったこの9巻。

4人で自首を強行しようとした8巻のラストから10年が経っています。

エンターテイメントとしては、4人で強行自首をしようとした8巻がクライマックス。

そこで終われば、きっとバッドエンドながらも綺麗に終われたかもしれない。

でも。

自首は失敗に終わり。
彼らの罪はもみ消され。

結局「償う」ことができなかったトビオたち。

彼らは日常の中にいます。

消せない罪の意識。

それはふとした時に、死んでしまいたくなるほどの衝動を呼び起こす。
ギリギリの10年。

この「罪悪感」の重さを描くために8巻分の前フリが必要だったのかもしれません。

そして10年かけて壊れてしまったトビオ。

自分を殺してくれる存在を待っていたこの顔…。

もういっちゃっております。

彼はもう二度と、救われることのない人生を生きていきます。

どよんと重くなる読後感。。


象徴的な1コマ。

1巻の最初と9巻の最終話。

同じエピソード、同じシーンがありますね。

電車でトビオが女子高生のパンチラを見てないふりをする場面。

第一話のトビオ。
おっさんのせいにします。

最終話のトビオ。
新聞で隠します。

うん?

見逃すとこでした。

このトビオが持っている新聞の項目に注目してください。

え、これって??
つまりあの人か!?

そしてつぶやく「セーフ」。

なんとも意味深なカットです。

パッと読み飛ばしてしまいそうなところに、そっと忍ばせる。
このやり方にはしびれました。


さて、評価は?

全9巻というボリューム感。

非常に読み易いと思います。

ストーリーも息もつかせぬ展開の場所もあれば、あえてゆっくり描くところもあり。

平凡な日常が続いたと思ったら、急に叩き落とされたり。

その緩急が見事。

そして作品中に常に漂う不穏な空気。
ねっとりとした緊張感。

このじんわりとくる不快感は古谷実作品にも似ている気がします。

取り返しのつかない破滅的な青春譚。

1巻読むと一気に引き込まれるはず!

【星8つ】でオススメです。

1巻から読む
(2015〜2017)


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