花園メリーゴーランド

No.347
カテゴリ:ドラマ・サスペンス
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆
著者:原作:柏木ハルコ
出版社: 小学館
発売日:2001/9/29(1巻)
巻数:5巻完結

「スケベだからなんだっつんだよ!」

最近やたらと電子書籍のバナー広告で見かけます。

「性」を取り扱った作品の多い柏木ハルコ先生の怪作。

それがこの「花園メリーゴーランド」です。

あらすじ

無口な高校1年生の相浦くん。
旅行中にバスを乗り過ごし、知らない集落に迷い込んでしまう。

雪で立ち往生し一泊することになったのだが…!?


感 想

発表は15年も前です。

なぜ、この作品が今になってこれほどプッシュされているのか謎。

最新作「健康で文化的な最低限度の生活」では、生活保護の実態を描く社会派漫画を描いている著者ですが…。

やはり真骨頂は、こっちでしょ。

陰気臭いエロ。

いや、褒めてます(笑)

本作は著者の得意とする少年少女の「性」をテーマとした作品。

「閉鎖された村」「古い淫らな風習」「童貞少年」という。
奇跡の3コンボ。

もう、この組み合わせが見事!

著者の作品群の中でも屈指の怪作です。


花園な人たち。

相浦基一。
中学三年生。
相浦家に先祖代々伝わる「烏丸」という刀が父の故郷の寺に奉納されたことを知り、それを手に入れるため父の故郷に向かう。

澄子。
道に迷っていた相浦くんを助ける。
民宿「まさがや」の娘。

みづえ。
民宿「まさがや」の女将。
ものすごく色っぽい。

柤ヶ沢(けびがさわ)村。
山間の小さな集落。
当時の城主が作ったとされる隠れ里が発祥とされる。
美人が多いのが特徴。
古い独特の風習が残っている。


これはミステリー!?

主人公が祖父の刀を見つけるために旅をします。

その途中で、不手際から迷い込んでしまった、とある村。

道に迷い往生していたところ、通りかかった民宿の娘に宿へと案内されるわけですが…。

雪が深く帰るに帰れない。

村は本来なら部外者を入れない「ある祭り」の季節。

おうおうおう。

いいですねぇ。
雪で閉ざされてしまう閉鎖的な謎の村!

金田一のミステリーみたい。

そして。
間の悪い主人公は村の秘密を垣間見てしまうという。

お決まりの流れ。

で。

仕方なく村の「秘事」に参加となるわけですが。

その秘事が、いわゆる。。

乱交。

村人は「性の手ほどき」と呼んでいますが…。

くじで相手を決めて。
おばちゃんと少年がセットで布団にイン!

どう考えても。

乱・交!

ちなみに場所は公民館(笑)

その村では「夜這い」の風習が残っています。
そして村中で若者に「性の手ほどき」をする慣習もあると。

おばちゃんが少年に。
おじちゃんが少女に。

んな、アホな!

ハイ、アウトー!
児童福祉法違反ーー!!

と冷静に考えれば、ありえないことだらけなのですが。

それが気にならないほどの物語のテンポの良さ。

さらに。

主人公の間の悪さと巻き込まれ具合が絶妙。

あれよ、あれよ、と言う間に深みにハマっていきます。

そして、無駄に秀逸なサスペンス描写。

怖えよ(笑)

閉鎖された村で、連綿と残る淫靡な風習。
こいつが妙にリアルです。

やがて迎えるクライマックス。

村の奇祭が始まります。

主人公は無事に祖先の刀を回収し、貞操を守り、逃げ切ることができるのか?

この紆余曲折の攻防が面白い。


ウソかマコトか?

このお話。

実は、著者が「友人から聞いた話」という体で進んでいきます。

かつてその友人が迷い込んだという村。
著者がそこに取材に向かうシーンから始まります。

よくTVドラマで目にするお決まりのテロップ。

この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

は、一切出てきません。

ラストは、その友人で主人公たる「相浦くん」が著者と、十数年経った柤ヶ沢を訪れる、というシーンで終わります。

そして、ある人物との再会で突然の幕切れ。

なんだよ、このラスト!!

もう、あと1ページでいいから描いてくれぇ!
となっちゃうかも?

さて、この物語。

ウソかマコトか?

真実は最後まで闇の中。

って!!

まぁ、フィクションなんですけど。

こんな、うらやま…いやいや!

けしからん村があったら!

いの一番に引っ越し…いやいや!

通報されてしまっているでしょう。

でも、ひょっとしたら。

どこかに残っているかもしれない。

そんな夢とロマンと怖さがあります。


さて、評価は?

1巻を読んでしまうと、もう止まらない!
ハラハラ、イライラ、モゾモゾ、ゾワゾワ。

ミステリーあり。
サスペンスあり。
もちろんエロあり。

5巻完結というボリュームもちょうど良い。

主人公の煮え切らない行動に時折イラっとしますが、でもそれが15歳の童貞主人公となれば、仕方なし。

まったくダレる箇所なく5巻完結まで突っ走ります。

とっても面白い。

ツッコミ不要。
細かいとこは置いといて。

楽しんで読んじゃおう!の【星7つ】でオススメです。

全5巻を読む
(2001〜2002)


【その他の柏木ハルコ 作品】

健康で文化的な最低限度の生活 1〜5巻
(2014〜)

失恋日記
(2013)

も~れつバンビ 全5巻
(2009〜2010)

地平線でダンス 全5巻
(2007〜2008)

愛・水族館 柏木ハルコ傑作短編集
(2006)

QUOJUZ 全2巻
(2006)

鬼虫 全5巻
(2003〜2005)

ブラブラバンバン 全5巻
(1999〜2000)

よいこの星! 全6巻
(1997〜1998)

いぬ 全6巻
(1995〜1996)

スポンサーリンク
osuman_336x280