No.193
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆
著者:夾竹桃ジン
シナリオ:水野光博 取材・企画協力:小宮純一
出版社: 小学館
発売日:2011/11/18
巻数:6巻完結
「たすけて・・・」
最近、よくバナー広告で目にします。
「児童虐待」をテーマにした作品の数々。
その中で最も漫画らしい作品。
それがこの「ちいさいひと 青葉児童相談所物語」です。
あらすじ
自らも児童虐待で保護された過去を持つ、駆け出しの児童福祉士の相川健太。
すべての子どもたちの幸せのため、健太の体当たりで奮闘する姿が描かれる。
週刊少年サンデーでの掲載!?
これほど重いテーマを!
少年誌でやっていたことに驚き。
虐待をテーマにしたと言っても、そこは少年誌。
オブラートに包みまくって、ゆるく浅く描いてるんじゃないの?
なんて思って読み始めたのですが…。
甘かった。
ガチです。
きっちり虐待シーンを描いてきます。
容赦ない。
薄汚れた子供の描写には目を背けたくなります。
よく載せたな…。
児童福祉士の目線。
前回の記事「児童養護施設の子どもたち」は虐待された子どもの目線で描かれていました。
本作は児童虐待の最前線で奮闘する児童福祉士の目線で描かれています。
虐待されている子供がいる。
救いたいのに救えない。
その苦悩。
立ち入り調査一つ行うのにもいくつも壁があることに驚きます。
本作の注目すべき点は漫画作品として面白いこと。
「面白い」と書くと語弊があるかもしれません。
要するにフィクションとして非常にドラマ性が高いんです。
作画のタッチはまさに少年誌。
スポーツ漫画やラブコメが合いそうな見やすく綺麗な絵。
登場人物が漫画的。
主人公・相川健太。
過去に虐待された過去、トラウマを持つ。
熱血で愚直で一途な青年。
ヒロイン・長澤彩香。
健太と同時に配属された、一時保護所の保育士。
健太を支えていく
先輩・塚地誠。
駆け出しの健太にアドバイスをする良き先輩。
おちゃらけたキャラでありながら、実は熱い男
副所長・藤井東児。
青葉児相の副所長。
虐待されていた健太を救い出した過去を持つ。
どうですか?
この漫画的な布陣。
このまま連ドラでもいけそうです。
キャラクター名なんて、それを見越したかのようなw
*ドラマ化はしてません。
虐待の最前線を描く。
一話完結のエピソードの羅列ではなく。
1巻ごとにテーマがあり、数話かけてそれぞれのケースを描いていきます。
虐待の最前線。
児童福祉士たちの奮闘。
虐待してしまう親たちの背景。
虐待を受ける子供たちの心の傷。
継父の虐待。
児童の強制引き取り。
里親制度。
性的虐待。
3巻では「東日本大震災」時の児童福祉の現場での修羅場を描いています。
ドラマ性が高いからこそ、ずっと読めてしまいます。
さて、評価は?
巻末の「あとがき」も実際の事件や取材の過程を詳しく書いてあります。
シナリオの水野氏、取材協力の小宮氏、両名のコラムは実に興味深い。
この作品が単にエンターテイメント重視で作られたわけではないことが読み取れます。
こういう作品は若年層にこそ読んでほしい。
そう考えると少年サンデー掲載は、編集部の英断だったと思います。
オススメの【星7つ】で!
さらに。
2013年に連載終了した本作。
当時はそれほど人気を博したとは言えないはずですが…。
おそらく電子バナー広告になってから人気が出たのだと思います。
復活を望む声が編集部に届いたのかも?
なんとアンコール連載が始まりました。
タイトルもそのまま。
「新・ちいさいひと 青葉児童相談所物語」
現在「サンデーうえぶり」で月間連載中です。
一話と最新話が無料で読めます。
こちらもチェックしてみてはいかがでしょうか?