No.169
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン
オススメ度8 ★★★★★★★★☆☆著者:ゴトウユキコ
出版社: 太田出版
発売日:2015/1/5(1巻)
巻数:2巻完結
「おかえり」
いつの時代も「問題作」というのは生まれます。
そんな作品の一つでしょう。
「R-中学生」のゴトウユキコ先生が描く、母と息子の性と愛。
それがこの「水色の部屋」です。
あらすじ
高校生の柄本正文は母親のサホと二人暮らし。
美しい母親に対して屈折した愛情を抱いていた。
その想いはやがて、ある事件を引き起こしてしまう――。
最初の1コマ目がこれですよ!
ここから始まるのって。
中々にヘビーです。
ちなみに官能的な漫画ではありません。
これは人間ドラマです。
母と子、友人、その関係。
様々に絡み合っています。
そしてタブーとされる感情。
それを隠さず、じっとりと描いてくる。
しかもリアルなさじ加減で。
表情が生々しい。
なんだろう?
抜群に作画が上手いというわけではないんです。
でも、伝わるものがある。
息子である正文くんの屈折した、それでいて罪悪感のある表情。
これがいちいち素晴らしい。
母の胸元につい目が行ってしまう。
それを恥じるように、目線をそらす。
母もそれとなく気づきつつ、知らないフリをする。
ぬおおお。
なんだこれ!
ざわざわするわぁ!
ツボがわかってらっしゃる。
またこの、お母さんの佇まい。
これが見事。
不幸な色気というか。
許されない感情を刺激しそうというか。
男の嗜虐性を誘惑しそうな危うさ。
本当に、女性作家さん?
このツボの押さえかたはすごい!
男子としては、読みたいような、読みたくないような。
感情がざわざわと波打つ、そんな内容。
評価を分ける問題シーン。
そして母と子の関係だけでは終わらない。
二人を巻き込み動かしていく人物の登場。
そして起こる事件。
まぁ、ここでしょうね。
1巻の終わり。
これが評価を二分する箇所かと。
ドラマと捉えて割り切るか。
ただの胸糞と感じてしまうのか。
僕は思います。
ここまで書くからこそドラマ性が際立つんだと。
さて、評価は?
Amazonレビューは真っ二つ。
高評価と低評価。
それほどインパクトがあるってことかと。
僕は高評価派で【星8つ】!
「歪んだ愛が描きたかった」
著者はあとがきで述べています。
とにかく内容の濃いい全2巻。
心をざわつかせる作品です。
【その他のゴトウユキコ作品】
R-中学生 全3巻
(2010〜2013)
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