ぼくらのトランキライザー

No.319
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン
オススメ度5 ★★★★★☆☆☆☆☆
著者:ゆきのぶ
出版社: 一迅社
発売日:2017/4/27
巻数:1巻完結

「俺ね、父親殺してきたんだ」

鬱漫画でございます。

この出口のない閉塞感。

これは著者の心の叫びなのか!?

なんだか気になったので読んでみました。

それがこの「ぼくらのトランキライザー」です。

あらすじ

「死にたい」けど「死にたくない」。

そんな矛盾に苦悩する不登校の少女。
父親を殺してきたと語る謎の青年。

その二人の邂逅により運命の歯車が回りだす──!


感 想

トランキライザーとは?

Tranquilizer = 精神安定剤。

学校に行けなくなってしまった少女の物語。

何不自由のない環境なのに。
「死にたい」と思ってしまう。

そんな親不孝な自分は歪んでいると自覚もしている。
だからこそ、自分に嫌気が指す。

そしてまた「死にたい」と思ってしまう…。

まさに負のスパイラル。

そんな閉塞感を描いた作品です。

なんか読んでると空気がどよん。。

紡ぎ出されるセリフの数々。

ぐだぐだ言ってます。

なんだか面倒臭いぞ。


トランキライザーな人たち。

赤城はるか。
不登校児の小学四年生。
「死にたい」と思うがその勇気がない。

レオ。
親を殺して逃走中にはるかと出会う。
複雑な家庭環境で育つ。


エンターテイメントではなく独白。

この作品のテンション。

それはまるで著者の感情の独白です。

心に悩みを抱えた弱者の目線。
主人公・はるかのモノローグにはリアリティがあります。

人によっては心に刺さる言葉もあるかもしれません。

死にたい少女と親を殺した少年の逃避行。
とてもドラマティックな気がします。

だがしかし!

ストーリー的に盛り上がりそうな要素は掘り下げず。
二転三転、どんでん返し。
そんな仕掛けも何一つなく。

ただ二人の語り合いが続く。
感情の独白。

冷めたテンションのストーリー展開。
エンターテイメント性は低し。

親を殺してしまった少年ですよ!?

なぜにこんなに冷静?
なぜ面倒ごと(小学生をかくまう)を背負い込む?

しかもごっつええヤツ。

ちょっとね。。
リアリティがない。

親殺しなんて重大な犯罪。
もっと心が壊れてしまいそうですがね。。

生きる意味に悩む少女への答えを体現する役回り。
だからこそ人格者的なキャラとなってしまう。

これは構成上、仕方のないところかもしれませんが…。

「親殺して逃げてる少年」とか!

なんでこんなセンセーショナルな設定にしたかなぁ!


著者のトランキライザー。

あとがきで著者は書いています。

この作品。

最初は「遺書」にするつもりだったと。

おいおいおいおい。

マジやんけ。

描き上げた後に「終わらせよう」と思っていたそうです。

ちょっと待てよ!

そんな精神状態でWEBで発表していたところ。

「漫画を描く」というアウトプットの作業が、自身の問題と客観的に向き合えるようになったとのこと。

そして、読者からの意見やコメントに勇気付けられ、やがて本作を描くことがライフワークへと変わっていった模様。

まさにトランキライザー。

この作品は著者の精神安定剤となったわけです。

問題やトラウマを抱えた著者が作品を生み出すことでその問題を消化していく。
最近では「ど根性ガエルの娘」もこの形かもしれません。

それはまさにカウンセリングの手法と似ています。


さて、評価は?

1巻完結。

ストーリーは中編1編と、短編1編。
さらに書き下ろしの短い後日譚が収録されています。

作画はまだまだ。
いわゆるデジタルで一人で描いたような、のっぺりした感じ。

でも、これからもっと上手くなりそう。

本作はあくまで著者の「描きたかったこと」を描いただけ。
エンターテイメント性が低いのが残念。

ただ、感情表現は「なるほど」と思わされるところも多々あり。

なので、ここは【星5つ】です。

次作は読み手がドキドキワクワクするような作品を期待したい。

全1巻を読む
(2017)

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