さよなら、カルト村。

No.251
カテゴリ:ノンフィクション/1巻完結
オススメ度5 ★★★★★☆☆☆☆☆
著者:高田かや
出版社: 文藝春秋
発売日:2017/1/30
巻数:1巻完結

「言われたことだけやってれば良いんだもん。楽だし私はずっと村にいるよ」

ヤ◯ギシ会の村での幼少期の生活を描き、大反響を呼んだ前作。
カルト村で生まれました。」から1年。

著者の思春期を綴った続編が出ました。

それがこの「さよなら、カルト村。」です。

今回も薄味な表紙に見えて、内容は濃いいです。

あらすじ

「所有のない社会」を目指す「カルト村」で生まれ。

過酷な労働や理不尽な掟に縛られた村の暮らしを受け入れて育ってきた著者は、なぜ自ら村を出たのか?

村で過ごした13歳から19歳までの青春期を描き、当時のマスコミを騒がせた村の実態に迫る、衝撃の実録コミックエッセイ。


感 想

相変わらずの可愛い絵。
きれいな文字。

毒も何もなさそうなこの絵柄に。

どうしようもないほどの怖気を感じてしまうのは僕だけでしょうか?

この作品を一言で言うなら。

洗脳の恐怖。

思考を奪われ。
意思を奪われ。

自分で考え、行動することを奪われた人生。

こんなものが存在していいのでしょうか?

出版元は文藝春秋。

前回の記事では「カルト村」というセンセーショナルなタイトルをつけた編集サイドの意向に疑問を呈しました。

目を引くために、安易に「カルト」という言葉を使うべきではない。
そう思いました。

しかし・・・・。

やっぱカルトだなと。

今作は著者の表現に、あえて編集が「素通りさせた」箇所が見受けられます。

著者は「なんでもない」「ちょっと大変だった」というように。
純粋無垢の程で描いてますけど。

おいおいおいおい。

この内容、戦慄が走るわ!!

これは洗脳。

一般の本を読むのを禁止。

個別ミーティングと呼ばれる思想の矯正。

高校へは行けず、朝6時から畑仕事や鶏の解体など厳しい労働の毎日。

結婚相手は年の離れたおじさん。村の「調整結婚」。


ふさ夫さんとの出会い。

作中に「聞き役」として登場している著者の夫の「ふさ夫さん」。

今回は「ふさ夫」さんとの出会いも描かれています。

ええええええ???

これ、描いちゃう??
黙っとくとこでしょ!?
もしくはオブラートに包んでいいんだよ!?

普通ならカットするでしょう。
それを「あえてスルー」した編集の意図。

幼少から男女交際を禁止。
村では20代の女性が40代の男性と調整結婚。

そんな社会で育ってくれば。。。

出会い系で会った一回り以上違うおっさんと結婚してしまう。
そして、それを普通の出会いだと思っている。

やっぱ著者は「どこかズレてるよね」というのを。

意図的に演出したのでは?

「何もわからない」著者を使って二世への影響の根深さを訴える。
文藝春秋の戦略を感じてしまう。

と、、思うのは穿ちすぎ?

今作は、いろいろな場面で。
「一般から見ると、ちょっとおかしいよね。」と著者が描く部分。

それ。
めっちゃおかしいですからぁ!!
残念ーー!!

と。
懐かしのギター侍が出てくるレベル。


さて、評価は?

作中、著者は批判的な立場は一切とっていません。

淡々と綴るスタイルは前作と同じ。

しかし!!
前回と大きく違うのは。

作中の「ふさ夫」さんのツッコミ。

正論やん!

これ、著者の手で書いているわけで。

夫の言葉の体をとりながらの批判なのかな?

それとも、あくまで「夫」もしくは「編集」のツッコミをそのまま描いただけか?

真相は果たして…。

前作は途中で退屈になってしまった箇所もありましたが。

今回は中身が濃くて。。
退屈もせずに読み切りました。

面白いかと問われれば。

否。

でも、驚きの連続。
びっくりしたわ!の【星5つ】

皆様は、読んでどのように感じるでしょうか?

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(2017)


【その他の高田かや作品】

カルト村で生まれました。
(2016)
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