No.252
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン/音楽
オススメ度10 ★★★★★★★★★★
著者:石塚真一
出版社: 小学館
発売日:2013/11/29(1巻)
巻数:10巻完結
「止まっちゃダメなとこな気がすんだ」
ええ!?
まさか完結!!
マジか!マジなのか!
うん・・・?
日本編・・・完結ですと・・・?
一瞬驚いてしまった。
いや~よかった…。
と胸をなでおろしたのが、この「BLUE GIANT」です。
あらすじ
ジャズに心打たれた高校3年生の宮本大。
「世界一のジャズプレーヤーになる…!!」
そして川原でサックスを独り吹き始める。
雨の日も猛暑の日も毎日毎晩。
これはやがて世界的サックスプレーヤーとなる少年の物語。
この「第一部」完結巻。
まさかの展開です!!
「おおぅ・・」
と絶句した人もいるはず。
それほどの衝撃的な急展開が待っています。
でも。
これがよかった!
ジャズマンの憧れのステージ「So Blue」
そのステージに向かうこの二人の表情。
ネタバレになるから書けません。
でもこの表情は泣かせる…。
クライマックスは胸にくるものがあります。
日本編の完結。
そして大は海外へ。
この流れ。
なるほど!と納得できました。
きっとこの展開は最初から用意されていたんじゃないでしょうか。
JASSな人たち。
上京した主人公が初めて組んだバンド、JASS(ジャス)。
そのメンバーをご紹介。
宮本大(テナーサックス)。
高校3年でジャズに魅せられ、本気でジャズプレーヤーを目指す。
高校卒業後の上京。沢辺と知り合い「JASS」を結成する。
沢辺雪祈(ピアノ)。
4歳からピアノを始め、非凡な才能を持つ。
下手なプレーヤーには容赦のない批判をする。
しかし純粋なほどに音楽にストイック。
玉田俊二(ドラム)。
大の高校時代の同級生。大学進学のため上京。
東京で大と再会し、大に部屋に転がり込まれる。
それを機にドラムを始め、やがて「JASS」に合流する。
音を読む。
BLUE GIANTの魅力。
それは数々の演奏シーン。
「音が聞こえそうだ」と評判。
作画のパワーと言いますか。
著者の「伝えたい」想いが紙面からほとばしる感覚があります。
1コマだけでは伝わりにくいのですが、連続して読んでいると「音が聞こえてきそう」なのです。
演奏しているプレーヤーだけでなく。
それを聞いている観客のリアクションで、音の凄さを伝えます。
なんだか。
ウワーーー!!
ってなってるのが溢れてきませんか?
音楽雑誌のインタビュー。
そしてもう一つの魅力。
個人的に大好きなのが。
一巻ごとにある巻末の描き下ろし。
宮本大に関わった登場人物たちのインタビュー。
さながら音楽雑誌のようです。
その巻で深く関わった登場人物の数年後~数十年後の姿。
その当時(本編の話)を振り返って、キャラたちが「宮本大」について語る。
これが漫画的には「その後の伏線」になっていて、楽しみ倍増。
構成的にも素晴らしい手法かなと。
最終巻は、初めて「宮本大」を見出した仙台での師匠、由井氏。
さて、評価は?
前作「岳」でもそうでした。
石塚先生の描く主人公は、一言で言えば〇〇バカ。
狂気を感じるほど、一つのことに打ち込んでしまう人。
今回の主人公は確かに天性の素質を秘めてはいます。
ですが注目すべきはそこではなく。
努力する「天才」だということ。
ただひたすらに。
愚直なほどに正直でまっすぐ。
まるでふた昔前のスポ根キャラのようです。
だからこそ。
読むと心が熱くなる。
感化される。
本気で音楽のプロを目指したことのある方は、結構いるでしょう。
もしくは。
プロを目指したのではなくとも、一度でも本気で楽器に打ち込んだことがある人。
ぜひ読んでみてください。
もし今、楽器を弾いていなければ。
無性に弾きたくなるはず。
熱い心、情熱が蘇ってくる。
きっとそんな作品です。
【星10】でオススメします。
そして舞台は世界へ。
ドイツ編がスタートしました。
それがこの「BLUE GIANT SUPREME」。
SUPREME(シュプリーム)。
直訳すると「最高」という意味。
さて、これからどんな最高のステージを見せてくれるのか。
この第二部も見逃せません。
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