No.178
カテゴリ:ドラマ・サスペンス/1巻完結
オススメ度8 ★★★★★★★★☆☆著者:真鍋昌平
出版社: 講談社
発売日:2000/8/21
巻数:1巻完結
「1日5万も出るバイトがまともな仕事とは思ってなかったろ?」
「闇金ウシジマくん」で大ヒットを飛ばした真鍋昌平先生のデビュー作。
それがこの「スマグラー」です。
これぞウシジマくんの原点!
裏稼業の殺伐とした仕事を描いています。
あらすじ
役者志望のフリーター・砧は、ウマい儲け話にしくじって多額の借金を抱えてしまう。
返済のため、高利貸しから斡旋された高額アルバイト。
それは違法なブツばかりを扱う「運送屋」だったー。
そして迎えた初仕事。
砧はミスを犯し「ブツ」が何か見てしまう。
失敗すれば「死」が待つ世界。
やがて彼の「覚悟」が試されることになる…。
スマグラー=「smuggler」
直訳は「密輸業者」です。
密輸業というより「裏の運送業」。
これぞノンスットップ・バイオレンス!
ぐいぐい引き込まれる!
唸ってしまう。
無駄なところ、ダレる場所など一切ない。
緊張感のあるシーンの連続。
1巻完結。
文句なく面白いです!
この作者はリアルな暴力を描くのが上手すぎる。
フィクションだとわかっていても。
この社会のどこかに「スマグラー」がいそうだな、と思わせる。
登場人物のキャラが濃い。
クセがある。
熱がある。
力強い眼光。
セリフも上手い。
中でも突出しているのは殺し屋の「背骨」と「内臓」の二人組。
この紙面からほとばしるカリスマ性はヤバし。
左から、内臓、背骨。
背骨は背中に脊髄のタトゥーが入ってます。
キレッキレ!
スマグラーの中心人物ジョーの兄貴。
寡黙に見えて、いちいち含蓄深い言葉を放つ。
カッコいい。
この3人が主役を食う勢い。
主人公の砧くん。
基本、いいヤツ。
最初こそ情けない展開でしたが、最後はキメてくれます。
暴力の描写が上手い。
これがデビュー作とは信じがたい。
今から16年前の作品。
「ウシジマくん」から読んだ人は、本作の作画の荒さに少し驚くかも。
今の作画の方が圧倒的に綺麗ですが、デビュー当時のこの迫力も魅力的。
この荒さが、暴力的な描写にマッチしている。
凄惨さを引き立たせています。
特に人物の表情がすごい。
セリフのない目だけのやりとりとかね。
この一触即発のシーン。
・・・・・・・。
怖ええええ!
こんな人たちに凄まれたら…。
ジャンピング土下座する自信あります!
これはちなみに序盤。
殺し屋二人組とジョーの兄貴の邂逅のシーンです。
1巻完結でお分かりの通り。
キレッキレのストーリーながら当時はそれほど売れていません。
連載終了して約10年後の2011年。
「ウシジマくん」のヒットで再び脚光を浴び、映画化へ。
その時に映画化記念として「新装版スマグラー」が刊行されました。
こちらには殺し屋・背骨と内臓のスピンオフが収録されています。
38ページもの描き下ろし。
未読の方にはぜひ新装版をオススメしたいところ。
ですが!
残念ながら、新装版は電子書籍化していないんです。
むうう。
さて、評価は?
生き方を問いかけてくる作品。
バイオレンス度合いが高いので、そういう方向性が嫌いな方はしんどいかもしれません。
なので、それを考慮して【星8つ】とさせて頂きます。
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