櫻の園

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No.111
カテゴリ:学園モノ/1巻完結
オススメ度8 ★★★★★★★★☆☆
著者:吉田秋生
出版社: 白泉社
発売日:1986/9
巻数:1巻完結

「もうとうに 気がついていたのだ」

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映画化もされたこの作品。
「海街Diary」「YASHA」等の名作を生み出し続ける、吉田秋生先生の連作短編集。
もっとも好きな作家さんの一人です。

あらすじ

舞台は1980年代。
丘の上の女子高校、桜華学園。

数百本の桜に囲まれたその学校は、誰が名付けたか「桜の園」と呼ばれていた。

主人公はその桜華学園の演劇部員たち。
演劇部は、春の創立祭で、チェーホフの“櫻の園”を演じるのが伝統となっていた。

そんな思春期の彼女たちの、ほのかな心情をセンシティブに綴る。


感 想

連載期間は1985〜1986年…。
なんと30年前になりますか!

コミックス初出は1986年。

これはもう中古本屋さんで運良く見つけるしかないでしょう。
今、Kindle等で読めるのは1994年に発刊した文庫版サイズ(単行本よりちょっと小さい)です。
僕が手に取ったのもこのヴァージョン。

演劇部員、一人一人のエピソードで綴る連作です。

1話ごとの出来も素晴らしいのですが、全編を通して1本の作品として完結します。

最後につながった時に舞台の幕が開く。
本当に見事です。

時代を感じる。

時代背景やら、会話に出て来るTVの話とか。
さすがに今読むとジェネレーションギャップ。

「何見てた?」「うん、ひょーきん族。」
みたいな電話での会話シーン。

こんなの懐かしすぎるでしょう。

20代の方は「ひょーきん族」知らないかと(笑)


タッチの変遷。

最近の「海街Diary」でファンになった人は、この頃の作画を見ると「あれ?同じ人なの?」と戸惑ってしまうかもしれません。

それくらいタッチが変わっています。

吉田秋生という作家の画風は、僕は大きく3つに分けられると思っています。


<初 期>
少女漫画風のタッチ。

「カリフォルニア物語」(1979)
cari


<中 期>
少女漫画っぽさが抜け、青年漫画のタッチに近くなる。

「吉祥天女」(1983)
「河よりも長くゆるやかに」(1984)
「櫻の園」(1985)
「BANANA FISH(前半)」(1986〜)
kissyou「吉祥天女」
banana_2「BANANA FISH」


<後 期>
現在のタッチ。

「BANANA FISH(後半)」(〜1994)
「ラヴァーズ・キス」(1995)
「YASHA」(1996)
「イヴの眠り」(2004)
「海街Diary」(2007〜)
yasha「YASHA」
umimachi「海街Diary」


さて、評価は?

思えば長い期間。
吉田先生の作品を追いかけてきたな…。

1巻完結ですが、面白い。
というより心地よい。

静かに心の奥にいつまでも残る名作です。

オススメは【星8つ】

全1巻を読む
(1985)



櫻の園 全1巻


【その他の吉田秋生作品】

海街diary 1〜8巻
(2007〜)

イヴの眠り 全5巻
(2004〜2005)

YASHA 全12巻
(1996〜2002)

ラヴァーズ・キス
(1995〜1996)
記事を読む

きつねのよめいり 文庫版全1巻
(1995)
*1977のデビュー作から1982までの作品を収録

PRIVATE OPINION
(1995)

BANANA FISH 全19巻
(1986〜1994)

河よりも長くゆるやかに 文庫版全1巻
(1984)

吉祥天女 全4巻
(1983〜1984)

夢みる頃をすぎても 文庫版全1巻
(1983)

夢の園
(1983)

カリフォルニア物語 全8巻
(1979〜1982)

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