BEASTARS

No.230
カテゴリ:ファンタジー/学園モノ
オススメ度9 ★★★★★★★★★☆

著者:板垣巴留
出版社:秋田書店
発売日:2017/1/6(1巻)
巻数:1巻以下続刊

「あなたは悪魔よ」

またも素晴らしい漫画に出会いました。

その設定、世界観、空気感。
一発で虜になります。

それがこの「BEASTARS」です。

あらすじ

肉食獣と草食獣が共存する世界。

全寮制のチェリートン学園。
その演劇部員レゴシは、狼なのにとっても繊細。

ある日、同じ演劇部員であるアルパカのテムが何者かに殺害される。
皆は肉食獣の仕業ではないかと噂をするが…。


感 想

この世界観!
見事としか言いようがない!

寄宿学校の強豪演劇部を舞台にした群像劇。

動物を擬人化した安易な青春ストーリーではありません。

開始早々の1シーン。
アルパカのテムが何者かに殺されるところから始まります。

ミステリー?
サスペンス?
青春群像劇?
ヒューマンドラマ?

色んな要素がミックスされ、そのどれをも損なうことなく。
奇跡のようなバランスを保ち物語が展開していきます。

凄いよ、これ!
この演出!

チェリートン学園の獣たち

レゴシ。(ハイイロオオカミ)
無口で繊細で不器用。
その風貌から誤解されることが多い。

ルイ。(アカシカ)
演劇部の看板役者。高等部3年。
傲慢な態度の裏に、熱い情熱と信念を持つ。

ジャック。(イヌ)
レゴシの幼馴染。
ルームメイト。レゴシの良き理解者。

ハル。(メスウサギ)
演劇の練習で夜間の体育館を見張っていたレゴシと偶然出会う。
レゴシの肉食獣としての本能をかきたてる存在となる。


ここが見どころ。

獣を擬人化した世界。

今までにもそう言ったアニメや漫画はあります。
中には意味もなく顔を動物にしただけの作品もありました。

しかしこの「BEASTERS」は意味を持たせます。

肉食獣であること。
草食獣であること。

そして、その相容れぬ別の種同士が一緒に暮らす世界であること。

何も気にせず、設定も深くせず、単に動物の擬人化漫画の方がどれほど楽でしょう。

そこをあえて。
ファンタジー設定ながら、リアリティを持たせようとしている。

獣としての要素を残すことで生まれる悩み、葛藤をも描いていきます。

肉食獣である、己の本性の目覚めを恐れるレゴシ。

取り繕いながらも本能的には肉食獣を恐れている草食獣たち。

草食獣でありながらこの世界の在り方を考えているルイ。

これは単なる青春の群像劇ではありません。

著者が裏に込めたテーマは2重、3重と深い。


小ネタも見どころ。

何回か読み直すと。
コマの端々に小ネタが隠れています。
こういう遊び心のある著者さん、好きだなぁ。

非常口の表示。

部室に貼ってあるポスター。
ANM48(笑)

寮の部屋にある紙袋。

寮のドア。

まだまだあります。

ぜひ探してみてください(笑)


さて、評価は?

作画は緻密に書き込むタイプではないようです。

獣を擬人化しているということもあり、あえてリアルに描かずにいるのかも。

ですが!

それを補って余りあるほどの、ストーリー。
そしてセリフ!演出。

これほどたくさんの要素を抱えて、この作品はどのような結末をむかえるのか!?

楽しみな作品がまた一つ増えました。

期待大の【星9つ】

これはオススメです!

1巻から読む
(2017〜)


著者ってまさか??

著者の板垣巴留先生。

今回が初連載とのこと。

凄いセンスだな!これは。
なんて、思っていたのですが。

ふと気になりました。

うん・・・?
板垣・・・?
連載は週刊少年チャンピオン…。

ま、まさか!!

はい!そのまさかでした!

あのチャンピオンの代表作の一つ。
「グラップラー刃牙」の作者。
板垣恵介先生の娘さんでした!!

マッジか~~~~!

絵が全然違うやんっ!

(注)でも、あくまで!
   噂でございますよ!!!

公的には発表されていません。
しかし、99.9%そうだろう、との噂。

真実は!?

もしそうなら親子で同じ雑誌に掲載ということに。

スゲェ。。。


2巻を読んでみた。

【4/11追記】

ますます面白くなってきました!

ハル(ウサギ)と思わぬ形で再会したレゴシ。

そして予想だにしない刺激的な展開。

おおう!!

そして、迎える演劇部の新歓公演。

ルイは負傷した足の痛みに耐え出演しますが…。

草食動物としての、自分の「弱いカラダ」に苛立つルイ。

肉食動物としての「強いカラダ」を隠すように生きるレゴシに苛立ちを募らせます。

そしてレゴシの自己主張もハッキリと出始めました。

さらに物語は熱く深く。

ますます目が離せません。


3巻を読んでみた。

【5/9追記】

前巻からたった1カ月での刊行。
楽しみにしてるものとしては嬉しい限り。

なんだ、このパンダ(笑)

でもね。

こいつが、かっこええんです!

この3巻では。
肉食獣の性。
この世界の歪な構造と暗い闇が垣間見えてきます。

勢いは落ちることなく。
さらに物語は暗く深く。
緊張感を増していきます。

うん、ますます面白い。

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