No.314
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン/恋愛
オススメ度6 ★★★★★★☆☆☆☆
著者:東村アキコ
出版社: 講談社
発売日:2014/9/17(1巻)
巻数:9巻完結
「それが愛ってやつでしょう!?」
ついに完結です。
連載開始から大反響。
世の独身アラサー、アラフォー女子の心をザクザク刺しまくったこの作品。
ついにはドラマ化まで。
「幸せになりたい」と願う独身アラサー女子3人の物語。
それがこの「東京タラレバ娘」です。
あらすじ
「タラレバばかり言ってたら こんな歳になってしまった」
そんなにイケていないはずじゃないのに気づいたらアラサ―になっていた倫子・小雪・香の3人娘。
6年後の東京オリンピックまでには結婚したいと思うけど…果たして!?
「ああだったら…」「こうなれれば…」
そんなタラレバをグダグダ言いながら。
「幸せになりたい」なんて言いながら。
いつまでも若いつもりでいたのが…。
気づけば取り返しのつかない年齢にまでなっていた。
この怖さ。
この悲哀。
そりゃぁ。
ザワザワするさ(笑)
男の僕でさえも、独身の身でこれを読んでいたならソワソワする(笑)
それくらい独り身の感情をガンガン刺激してきます。
作中に出てくる作者の代弁者たる「タラ」と「レバ」。
こいつらのセリフに心を抉られた女子は少なからずいるはず。
タラレバな人たち。
倫子。33歳。
フリーの脚本家。
出来る女を演じているが実は後悔だらけ。
小雪。33歳。
実家の居酒屋を手伝う。
単身赴任のサラリーマンと不倫に落ちる。
香。33歳。
ネイルサロン経営。
昔ヒモにしていたバンドマンが売れて、やがてその2号に返り咲く。
KEY。
若手の売り出し中のモデル。
女子会中の倫子たちと出会う。
いつも倫子に辛辣な言葉を浴びせる。
早坂。
制作会社のディレクター。
倫子に10年前にフラれている。
すっごくいい人。
ハッピーエンドだと?
賛否分かれるこの結末。
というか。
圧倒的に「否」が多い。
⬇︎ ここから若干ネタバレあります。
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アラサー女子へのリアルすぎる指摘がこの作品の「売り」だったはず。
「少女漫画的なご都合主義はリアリティがない!」
と、著者自体が1巻でKEY自身に語らせているわけですが…。
最後の最後で、少女漫画的な恋愛ファンタジーになりやがった!
んなワケあるかいっ!
と、突っ込んでしまうようなオチ。
なんですか、これは?
主役の倫子とKEYのロマンス。
これが成立しないのが現実でしょう?
倫子がKEYの死んだ初恋の女性に似ていた…とか。
こんな手垢のついた少女漫画的オチを持ってくるとは。
これこそ著者が全否定していたご都合主義漫画でしょうが。
これには、さすがにガックリ。
これが。
(1巻)
こうなるの?
(9巻)
リアリティよ、どこに?
現実的に考えればですよ。
同世代の性格も収入もいい男性(早坂)と始まる新生活。
それを裏切ってですよ?
この先どうなるかもわからない年下イケメンモデルの元へ走りますか?
それを30過ぎた女友達が総出で応援しますか?
いやいやいやいや。
一人くらい。
「ちょ、それはない!」
って言うでしょ!
幸せな結婚ゴールインをしようとしている友達を横目に見て。
その妬みから、あえてけしかける!
高収入の男を蹴って、グダグダの破滅的な恋愛になりそうな方向へミスリードする。
こういう黒さならわかるんだけどなぁ。
女子3人も揃って、熱く、ピュアに。
「イケイケ!」なんて。
ちょっとお花畑すぎて、今までの辛辣すぎる現実を描いてきた空気がゆるゆるになっちゃいましたよ。
でもね。
実は主役の倫子のハッピーに隠れて、残り二人の行く末はモヤったまま。
幸せになれてはいない。
そのあたりにリアル感を残したままなのが著者ならではと見るべきでしょうか。
さて、評価は?
アラフォーでもある著者の東村先生の同世代の女子に対する鋭い指摘。
そいつをギュッっと煮詰めたようなこの本作。
まぁ~面白かった。
特に6巻くらいまでは最高。
そこまでは文句なく【星10】です。
残念なのは結末。
明らかにドラマ化のタイミングでおかしくなった。
一般視聴者受けを狙ったかのような方向転換。
特にラスト2巻の水増し感はよろしくない。
8巻と9巻の本編の分量。
通常なら明らかに1冊に収まるボリューム。
それを半分近くをおまけ漫画と読者の投稿ページで埋める。
これはちょっとひどい。
ドラマとの兼ね合いもあり、無理に2巻に伸ばしたのかな?という印象。
このタイミングに売らんと!
……あまりに露骨すぎる。
ということで。
ちょっと最後が残念すぎ。
星をダダッと引いての【星6つ】で。
なんだかなぁ。
ドラマ化で一般受けしようとして色気出したのかな。
途中まで無茶苦茶面白かったのに。
色気を出してなかったら。
方向転換しなければ。
この作品こそ、まさにタラレバ。
とはいえ。
本作の残した衝撃は大きいのではないでしょうか?
独身アラサー女子はぜひ読んでみるべし。
独身アラフォー女子は閲覧注意!でございます。