No.161
カテゴリ:ドラマ・サスペンス
オススメ度6 ★★★★★★☆☆☆☆著者:武富健治 原案:中島直俊
出版社: アース・スター エンターテイメント
発売日:2013/5/30(1巻)
巻数:2巻完結
「期待外ればかりってわけでもないさ…」
「鈴木先生」で有名な武富健治先生のサスペンス・ホラー。
さぁ、来ました!
大好物の「閉鎖サバイバル」モノです!
なんともB級的なタイトル。
これは大丈夫か!?
でも武富作品に今までハズレはない…。
よし、行ってみようっ!!
と思って手に取ったのがこの「惨殺半島赤目村」です。
あらすじ
陸の孤島と呼ばれる赤目村。
そこに医師として派遣された三沢勇人。
村社会特有の力関係に翻弄されつつも、診療所で働き出す三沢。
やがて古からの77年ぶりの祭りを控えた赤目村で惨劇が始まる…。
この作者は陰惨なドラマがとても合う。
とにかく雰囲気がある。
まるで昭和の日本映画のような質感。
けれど古臭いというわけではない。
執拗に書き込まれた線の束。
野暮ったい、荒々しい作画。
鬼気迫る登場人物たちの表情。
何を題材にしても、引きこまれる。
そんな絵の強さ(濃いさ)があります。
プロローグはじっくりと。
1巻は抜群に面白い。
順々に登場するキャラクターたち。
村社会の独特の人間関係に翻弄される主人公。
伏線も散らばらせつつ。
そして、謎めいたヒロインの登場。
やがて見えてくる村の闇…。
ゆっくりと、丁寧に。
暗い闇の深みにだんだんと引きずり込まれる感覚です。
もう、どんな傑作になってしまうんですか!!
と、ドキドキしっ放しの前半。
うおお、こいつは星10だぜ!
と思いながら読み進めていくと…。
そして急展開。
あれ?
思ってたんと違う?
1巻後半から雲行きが怪しくなる。
そして2巻に入ると!
オイオイオイオイ、なんだこの展開!
マジでかーーー!!
もはや阿鼻叫喚。
惨殺村とタイトルにありながらも、1巻ではほとんど死にません。
すべては2巻のためだったのね!
確かにな!
惨殺村だわ!
でも、やりすぎじゃないか?
あの丁寧な前半の伏線は何やってん!
使わんのかい!!
あれだけ泥臭く描いた人間関係は!
これで終わり?
ご都合主義的なカオスなストーリー展開になっちゃうの?
思ってたんとちがーーーう!!
どうしてこうなった?
それにしても。
武富先生、こんな終わりでよかったのかな?
本当はもっと丁寧に描きたかったんじゃないだろうか?
いくら原案協力者がいるからといって、今までの作風と比べると、後半の荒さはなんだかヤケクソ気味にも思えます。
どうも横槍が入ったような急展開に違和感を覚える。
武富先生といえば、「鈴木先生」や「ルームメイト」で見せたネジくりまくった丁寧な心理描写。
執念を感じるほどの感情表現が見どころなのに。
こんなに安易なご都合主義の作品を描くとは。。。
ちょっとがっかり。
やはりタイトルの「惨殺半島赤目村」で感じた野暮ったさは、その通りだった。
前半のままならば確実にサスペンス・ホラーの傑作となったはず。
さて、評価は?
決して駄作ではない。
特に前半の出来は素晴らしい。
2巻完結、怒涛の展開。
最後まで一気に読んでしまえる。
エンターテイメントとしては面白い。
ただ。
絡み合った村の陰惨な人間描写を最後まで描ききって欲しかったな。
その落胆分で、オススメ度は【星6つ】。
ちなみに。
主人公をサポートする役割の「ショウ」という人物がちょこっと出てきます。
首につけたループタイ。
あれ?これってもしかして…。
(友情出演中の〇〇先生?)
鈴木先生のフルネームはあの作品の中でも語られていないんですよね。
でもドラマ版では鈴木章だったような。
これも一つの見所として。
*この作品はKindle Unlimited無料で読めます。
【その他の武富健治作品】