No.166
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン
オススメ度8 ★★★★★★★★☆☆著者:清家雪子
出版社: 集英社
発売日:2012/5/23(1巻)
巻数:2巻完結
「今の君は幽霊なんだ」
ヒロインが死んでしまうところから始まっちゃいます!
「死」をどう受けいれるのか?
「死後の世界」とは?
優しいタッチと繊細な表現で描いたのが、この「まじめな時間」です。
あらすじ
女子高生・植村一紗(かずさ)。趣味は遊ぶこと、歌うこと、寝ること。
高校生活を満喫して、近々好きな男の子に告白してつきあうことになるかも。
そんな日々をこれからも生きていくはずだった。
……そんな一紗を襲う運命とは!?
1行目でネタばれ書いちゃってますが…。
安心してください。
1ページ目から死んでますよ!
試し読みした時点でバレちゃいますから。
これはよくある「幽霊もの」ではありません。
映画「ゴースト」のように、死んでから誰かのために悪戦苦闘?
ではなく。
「なぜ死んだのか?」を過去にさかのぼって謎解き?
でもなく。
「死んでから」どう生きるか…?
というと語弊がありますね。
どう成仏するか? ですね。
現世への未練を清算してゆくこと。
想いを断ち切るのではなく「受け入れること」。
その「死を受け入れる時間」を描いています。
見てみたい気もする。
考えたことありませんか?
もし自分が死んだとしたら?
家族、友人、知人、周囲の人たちが、どんな反応をするのか。
自分のお葬式に集まってくれた人たちが自分のことをなんて話すのか?
聞いてみたいと思ったことないですか?
もちろん家族が悲しみにくれる姿は見たくはないですよ。
でも「自分の死」が周囲にどのように受け取られるのか。
僕はめっちゃ見てみたい。
そして全力でツッコミたい!
じゃ、見てみよう。
で、主人公も見て回るわけですよ。
お葬式帰り。
みんなで追悼カラオケ。
気になってた男子の家に行ったり。
そしてみんながすぐに日常に戻るのに落胆したり。
死んだことないけど。
なんか、これよくわかるわぁ!
死んでから気づくこと。
死んでから改めて周りの人間関係も見直す。
自分の思いと、他人の思いがずれていたことに気づく。
そっけなく接していた家族は、実は深く自分を愛していてくれたこと。
ああすればよかった。
こうすればよかった。
たった一つの感謝の思いを伝えるのに四苦八苦する姿が愛らしい。
「死」というテーマを描いていますが悲惨さはありません。
暗くならず、ふざけすぎず。
明るく、かつドライに描かれています。
後半のお母さんとのシーンは思わずほろっときます。
きっちり2巻で完結します。
とっても面白い。
あえて言うなら。
僕的にはあと2話ほど続きそうなところで終わってしまった…。
という印象です。
うまく終わっているように見えます。
↓ここから既読の方のみわかるお話です。
スッキリ終わるなら、お母さんのエピソードと周りの人たちの数年後のエピローグのシーンで終わってよかった。
そして一紗が成仏してゆく。
しかし、成仏間際の浄化のパワーで久さん夫婦を救おうとし始めます。
結果は一紗が久さんの妻の悪霊・佐和子さんに飲みこまれて小さくなって振り出しに戻る。。
ひょっとすると、一紗が何度も訳あり幽霊を浄化するシリーズが続く構想だったのでは?
それが止むえず終了となったのでは?
などと勘ぐってしまいます。
久さん夫妻がどうなったのか?
小さくなった一紗が成仏したのか?
部屋から出た玉男は?
結局、行く末がわからず幕が下ります。
この展開も確かにアリ。
でもなぁ。。
できれば周りの幽霊たちのエピソードも最後まで描いて欲しかった。
さて、評価は?
2巻後半まで文句なし!
最後はちょっと消化不良…。
ということで【星8つ】。
贅沢言い過ぎですかね!?
とはいえ、とてもよくできた2巻完結ストーリー。
まだ未読の方は、ぜひ読んでみて欲しい。
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