No.247
カテゴリ:学園モノ/日常
オススメ度6 ★★★★★★☆☆☆☆
著者:池辺葵
出版社: 祥伝社
発売日:2017/3/10
巻数:1巻完結
「あれは魔法の言葉や」
不思議な空気感が漂う池辺先生の新作短編。
それがこの「雑草たちよ 大志を抱け」です。
あらすじ
いつか、この日々を忘れたとしても、魔法の言葉が私を生かし続ける。
地方都市に生きる女子高生達の切なくも可愛い青春群像劇。
前作「プリンセスメゾン」を読んでから、この著者の描く空気感が好きになりました。
白っぽい空白の多い紙面。
でもその空白が心地よい。
余分なものを描き込まない。
セリフでさえも。
「間」で読ませます。
最近の漫画といえば。
描き込みが多く緻密な作画。
やたらと凝った設定とセリフ。
そんな作品が多いですよね。
でも。
そんな時代の流れと完全に逆行している感がある清らかで柔らかいタッチ。
この落ち着く感じは、なんでしょう?
ちゃぶ台のある畳の部屋に、座布団で座らされてるような。
そこに日差しが差し込んできてフワフワ暖かいような。
余計なものをとっぱらった後の心地よさというか。
派手じゃないけど、落ち着く。
嫌いじゃない。
このニュアンス、伝わりますか?
わかりにくい例えですみまぜん!
雑草な人たち。
がんちゃん。
朝に弱い。おしゃれが苦手。
心配性で誰にも優しい女の子。
ひーちゃん。
がんちゃんを毎朝迎えに来る幼馴染み。
基本無表情。足が速い。
ピコ。
徹夜でゲームをして目にクマができがち。
がんちゃんの膝によく座る。
これは地味女子のバイブルか。
女子高生。
おっさんからすれば、なんともキラキラした響きでしょうか!
でも、本作に出てくる女の子たちは。
地味に。
目立たず。
雑草のように黙々と生きている女子高生。
でも地味だって。
恋や友人関係や学校のことで色々悩んでしまいます。
そんな時の。
友人の言葉。
それが生涯を照らす、魔法の言葉になる。
そんな瞬間を、独自の目線で切り取っています。
漫画的にドキドキするような。
ドラマティックな展開はありません。
もうそれは地味(笑)
超絶に地味な日常のシーンが続きます。
でもそれが良い。
じわじわと暖かい。
失恋したがんちゃんをピコが携帯動画で踊って励ます。
こんなちょっとした優しさ。
いいなぁ。
さて、評価は?
作画の白さ。
淡々とした展開。
派手さはないので、少し退屈に感じてしまう人もいるかもしれません。
でも、不思議と。
読後、じんわりと心に残り続ける。
そんな作品です。
【星6つ】でオススメです。
ぜひこの空気感に触れてみてください。
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ねぇ、ママ
(2017)
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