さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

No.224
カテゴリ:ノンフィクション/1巻完結
オススメ度6 ★★★★★★☆☆☆☆

著者:永田カビ
出版社: イースト・プレス
発売日:2016/6/17
巻数:1巻完結

「心を開くって、どうするんだっけ…」

自宅の本棚には絶対置いておけないこのタイトル。

「このマンガがすごい2016」オンナ編3位。

ファ!!3位いいぃぃ???

と驚いて手にとってしまったのがこれ。
「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」です。

なんだか地雷臭がプンプンするぞ…。

あらすじ

高校卒業から10年間、息苦しさを感じて生きてきた日々。

そんな自分を解き放つために選んだ手段。
「レズビアン風俗」で抱きしめられることだった──。

自身を極限まで見つめ突破口を開いた、赤裸々すぎる実録マンガ。


感 想
う゛っう゛~~ん??
これは…。

想像以上でございました。

著者の自分の身を切り売りする様な創作姿勢には脱帽。

ここまで描くのか!?

多少の脚色があるにしても、その内容たるや。
こんなの親はもちろん、友人にも見せられないでしょう!?

まいったなぁ。

この読後感をどう表現すればいいんだろう。

これは鬱と摂食障害の著者が、自己に向き合って突破口を開くまでのお話です。


こんな経験ありますか?

バイト中に発狂するほど何かが食べたくなる。

出勤しようとして、廊下に崩れ落ち動けなくなる。

「誰でもいいから抱きしめて欲しい」そんな気持ちになる。

寂しすぎて。

寂しすぎて。

震える…じゃなくて。

「風俗に行こう」て。

なんでやねんっ!!

でも、そこまで追い詰められて。
人肌の恋しさ、温もりを渇望する著者。

その姿が切々と描かれていきます。


これは風俗レポートではない

レズ風俗って何?

と、そちら方面のレポを期待してはいけません。

キスさえもしたことのない著者。
エッチは高度なコミュニケーションなんだ!と気づく。

触られても何も反応できない。

そんな自分に絶望する姿が描かれています。

いちいち脳内のエロ同人イメージと現実とのギャップに落ち込む姿が切ない。


描いてみた。

人生、何がきっかけになるかわかりません。

著者は風俗では満たされることはありませんでした。
でも、それで何かが吹っ切れたのか。

今回の件を漫画にしてPixivに発表します。

それが、あれよあれよと大反響。
ついには閲覧数480万超となります。

そして何と「このマンガがすごい2016」オンナ編3位にまで。

著者を取り巻く環境は、きっと一変したに違いありません。

10年ほど常に選択肢の中にあった「死」が初めて保留になった。
と著者は書いています。

マジか。。。


この読後感はなんだろう?

で、最初の読後感の話に戻ります。

この気持ちは何だろう?

他人の人生のコアな部分を覗き見したような感覚。
おおよそ共感できないそのシチュエーション。

読んで面白いか?と言われれば、全くそうじゃない。

「お、おう。大変だったな!」
とハレものに触る先輩のごとく感想を述べるしかできない。

でも。

生きる道を見つけた主人公。
傷だらけになりながら、自分をさらけ出しながら。

その己を解き放った姿勢には、エールを送りたくなります。


さて、評価は?

これはきっと。

同じような「寂しい」経験をした人なら共感しまくりでしょう。

逆に人生の中で一瞬でも「死にたい」なんて気持ちが湧いたことのない人間にはとても「わからん」気持ちです。

読む人によって評価が分かれそう。

僕的には【星6つ】

でも。
後ろを向き過ぎて、ぐるっと一周回って前向きになるこの不思議。

辛い時、落ち込んだ時には、ちょっぴり力をくれる作品かもしれません。

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(2016〜)


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(2016)
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