No.254
カテゴリ:SF
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆
著者:士郎正宗
出版社: 講談社
発売日:1991/10/5
巻数:3巻完結
「ネットは広大だわ」
まもなくハリウッド版の実写映画が公開になります。
海外でも有名な日本のSF漫画と言えばコレ。
そう!「攻殻機動隊 ゴースト・イン・ザ・シェル」です。
前回のトリビュートの記事に引き続き。
原作をまるっとご紹介します。
あらすじ
西暦2029年。
通信ネットワークに覆われ、膨大な情報が世界を駆け巡ってい超高度情報化社会。
より複雑化していく犯罪に対抗すべく結成された特殊部隊。
それが「攻殻機動隊」である!
当時の初読みの感想。
「かっこいいけど難しい漫画やな」
おうう。。。
今ならわかります。
この漫画がどれほど先進的で、時代を飛び越えた作品だったか。
生身の体を捨て義体(サイボーグ)化する。
このSF的な設定。
今でこそよく見かけそうですが。。
まだ一般には「インターネットってなんじゃ?」
くらいの認識だった1989年に連載開始ですよ。
これを30年近く前に描いた士郎正宗先生は、まさに「来たるべき未来を捉えていた」のかもしれません。
人間の意識が電気信号に変換され、人格さえもバックアップできる世界。
そしてこのままいけば近い未来、それが技術的に可能になるかもしれない。
それをネット黎明期に予想し、この世界観を構築したのですから…。
しかも時代設定が2029年。
あながち無理とも言えない!
この考察の鋭さは、驚愕に値します。
ついついかっこいい作画、キャラやメカのデザインに目が奪われがちですが、内容も改めて読むと深くて素晴らしい。
そして、今読んでもやっぱり難しい(笑)
攻殻機動隊とは?
テロや犯罪を「攻撃的に」排除する目的で公安9課に設立された特殊部隊。
草薙素子。
部隊の実質的なリーダー。
脳以外の全身を義体化した女性型サイボーグ。
隊員からは「少佐」と呼ばれる。
バトー。
ほぼ全身を義体化した男性型サイボーグ。
ちなみに漫画原作版では単なる相棒という位置付け。
しかし映画版では明らかに素子に好意を抱いているキャラに。
トグサ。
隊員唯一の妻帯者。
元々は警視庁捜査一課特務班の刑事であったが、草薙に引き抜かれる形で9課に移籍した。
この漫画版では粗野な言動のキャラだが、映画版、アニメ版ではどんどん思慮深いキャラに。
もう、別人か!ってくらいの成長?を遂げる。
荒巻大輔。
公安9課の部長。
義体化はしていない。
隊員からは「オヤジ」と呼ばれ慕われる。
素子のことを「エスパーより貴重な存在」と評する。
映画とアニメが超有名。
「攻殻機動隊」は漫画、映画やアニメが数多く制作され、それぞれでキャラの性格や設定が違います。
そういう意味で「攻殻機動隊」は士郎正宗作品を原作にしながら派生した、作品群ともいえます。
そしておそらく。
原作よりもアニメ、映画版の方が有名かもしれません。
最も有名なのは1995年の押井守監督の1作目。
日本よりも海外でヒットしたことで逆輸入のような形で話題となりました。
1996年のビルボード誌のビデオ週間売上げで一位ですよ!
実は僕もこの映画版からハマった口。
超有名なこのシーン。
光学迷彩で姿を消しながらビル群に落ちていく。
かっこよすぎ!
押井監督はその後、相棒「バトー」を主人公にした続編「イノセンス」も製作しています。
あのマトリクッスの原型。
驚くべき映像とストーリーで、一躍大ヒットとなった映画「マトリックス」。
その「マトリックス」に多大な影響を与えたのが、この「攻殻機動隊」。
多大な影響というか、そのまんまの部分もあるよね。
相棒バトーのビジュアルとか。
画面に流れる緑の文字とか。
もともと製作に携わったジョエル・シルバー氏が「この実写版を作りたい」と監督のウォシャウスキー(姉妹)監督に「押井版:攻殻機動隊」を見せたとか。
さらにウォシャウスキー(姉妹)監督も製作スタッフに「攻殻機動隊」を見せていた、という逸話も残ってます。
さて、評価は?
「攻殻機動隊」はメディアミックスの最たるもの。
漫画、アニメ、映画、全てが連動しています。
原作漫画だけを読む場合と。
映画、アニメを見てから漫画を読む場合。
おそらく受ける印象が随分と違うはず。
さらにそのスピンオフ的な作品も読み。
そしてまた原作漫画を読む。
これまた印象が変わるはず。
ですので、この原作だけで判断するのは難しいとも言えます。
ですがあえて。
原作漫画だけでいいますと。
作画は緻密ですが、やはり28年も前の作品です。
コマ割は細くて、欄外の書き込み(ウンチク)も多い。
古いSF漫画という感はあります。
さらに作画も内容もボリューム感満載。
読むのに疲れてしまうかも(笑)
ということでオススメ度は【星7つ】。
さてさて。
実写映画版はどうなることか。
う〜〜〜ん。
なんだか微妙な予感がするんだよなぁ。
押井監督作品の印象が強すぎるところを。
どれだけ払拭できるか。
もし見たら、追記します。
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