No.341
カテゴリ:SF
オススメ度6 ★★★★★★☆☆☆☆
著者:戸田尚伸
出版社: 集英社
発売日:1996/1
巻数:1巻完結
「スパイラル・ナイフ!」
およそ20年前。
90年代のジャンプに突如として登場し彗星の如く消えたこの作品。
異彩を放つその作画は強く印象を残しました。
それがこの「惑星をつぐ者」です。
あらすじ
いつしか宇宙に進出した人類。
過酷な環境のもとで、人類種は滅亡しつつあった。
生き延びる方法は、細々と生きるか奴隷として他の異星人に仕えるかのみ。
灼熱の惑星で奴隷として働いていた青年・マットは、ある日行き倒れていた男を助ける。
しかし、彼こそは全宇宙規模の賞金首、バラダット・ナイブスだった…!?
時代と掲載誌が違えばヒットしていたかもしれない。
そう思ってしまう作品です。
やはり、目を引くのがその作画。
このサイトではたまに古い名作漫画をご紹介しています。
そんな作品は、えてして「古さを感じない、すごい!」と書くのが多いのですが…。
今回は全く逆。
これ、いつの時代の漫画だ?
発表は1995年。
掲載誌は「少年ジャンプ」です。
ええええええ?
1970年台の間違いでは?
20年近くタイムスリップしたような絵柄。
真面目すぎるテーマとその内容。
ターゲット層は、確実にジャンプの読者じゃないだろう!?
やはりというべきか。
9週で打ち切りとなりました。
でもね。
面白いんです!
この1巻完結のボリュームがちょうど良い。
これぞ隠れた名作です。
惑星(ほし)を継ぐ人たち。
バラダット・ナイブス。
全宇宙規模の賞金首。
惑星マリスの全住民を皆殺しにしたとして追われている。
伝説の武器「自在剣(スパイラル・ナイフ)」の使い手。
マット。
灼熱の惑星ダロウスで奴隷として働く人類種の青年。
荒野に行き倒れていたナイブスを助ける。
J(ジェイ)。
惑星マリスの生き残り。
ナイブスと因縁のある科学者。
これぞ、ザ・SF!
宇宙での人類の進化をテーマに描いたこの作品。
ど真面目すぎるテーマに「ザ・SF」的な登場人物たち。
まるで古いアメリカ映画のようです。
そして、この作品の魅力はなんといっても、その独特の作画。
90年代中期のSF作品とは思えないようなキャラクターデザインの数々。
宇宙服。
このデザイン!
賞金稼ぎ。
いかにも!
宇宙海賊。
なんでグラサン!
宇宙最強のグール族。
パイプついたマスク!
どうですか?
まるでアメコミのような。
まるでスペースオペラのような。
古き良き!って感じしませんか?
ええ、しない?
なんか、ノスタルジックでワクワクするんだけどなぁ。
さて、評価は?
最初にも書きました。
おそらく、発表する時代と掲載誌が違えば、もっと違う形になっていたでしょう。
どう考えても青年誌向きの内容と絵柄。
漂う古典的なSF小説、SF映画のようなテイスト。
大人になってこそわかる味といいましょうか。
要するに、渋い。
というか、苦い。
これは「少年」にはウケが悪いのも仕方ないかな。
再評価されて欲しい作品の一つです。
今読んでも十分に面白い。
ということで。
SF好きのおっさん仲間に【星6つ】でオススメします。
ちなみに。
SF小説の金字塔、ジェイムズ・P・ホーガンの「星を継ぐもの」とは全くの別作品です。
さらに。
残念なことに電子書籍化していません。
コミック版は手に入りにくくなっているため、中古本でもプレミア価格がついています。
運良く古本屋などで安く見かけた方は、手に取ってみてはいかがでしょうか?
Kindle版が出た!
【2018.7.5追記】
なんと、なんと!
まさかの電子書籍化です!
これで手に取りやすくなりましたね。
こういう古い作品の電子書籍化は大歓迎です。
どんどんとお願いしたい。