No.183
カテゴリ:SF/2巻完結
オススメ度6 ★★★★★★☆☆☆☆著者:原案:太田垣康男 漫画:太田優姫
出版社: スクウェア・エニックス
発売日:2015/10/24
巻数:2巻完結
「10か月後、人類滅亡は決定的となりました」
もし確実に10か月後に死ぬとわかっていたら?
何をしますか?
誰に会いますか?
そして最後の言葉に何を残しますか?
それがこの「銀河ロケットにお葉書ください」です。
あらすじ
『10か月後、人類滅亡は決定的となりました』
TVのアナウンサーから唐突に告げられる隕石の衝突、地球消滅へのカウントダウン。
混乱の中、日本政府は『銀河ロケット事業団』を設立。
国民一人一人からの最期のメッセージとなる葉書を集め、宇宙船『銀河ロケット号』に搭載。
人類が生きていた証しを携え、遠い銀河へと旅立つ。
人生の「終わり」を知った、一人一人の胸に宿るものとは…。
オムニバス形式のヒューマンドラマの連作短編。
太田垣先生の原案・脚本というのに惹かれ購入。
1巻のプロローグ、2巻のエピローグが太田垣先生の描き下ろし。
まず、太田垣先生作画の淡々としたオープニングに引きこまれます。
そして、本編が始まると…。
ガラッと作画のタッチが変わります。
とても細く繊細な作画。
少女漫画、とまではいきませんが、それに近い。
太田垣ファンなら好みの分かれるポイントかも?
今まで、太田垣先生が原作を手掛けた作品はいくつかあります。
「ワンパンマン」の村田先生が作画担当した「曇天・プリズム・ソーラーカー」。
まんま太田垣先生の作画タッチの「FRONT MISSION DOG LIFE & DOG STYLE」。
太田垣作品に出てくる男性って、みんながみんな。
汁が飛び散りそうなほど、油ギッシュで濃いいヤツら。
もしくはアルマーニのスーツをパリッとキメた伊達男風のような。
今回の作画は、男性の描き方が全く違う。
シュッと繊細な今風な顔。
華奢な細面のイケメン達。
なんだか新鮮だ。
肝心のストーリーはというと。
基本はハートフル路線。
「地球滅亡」という重いテーマの割には、悲惨さはありません。
正直、うん??
略奪、陵辱、自暴自棄。
そんな醜い姿はありません。
人類滅亡するんですよ?
みんな、こんなに最後までお行儀いいのかな?
なんて思ってしまう。
女性作家さんならではの優しい視点。
壊れていく日常への憐憫。
そして気づく家族への愛。
「人間らしく生きる」という。
「生への誇り」「人間の尊厳」へスポットを当てて描いています。
ま、表紙の綺麗さを見れば「ヒャッハーー!!」が出てくる絵は想像できませんよね(笑)
綺麗事感は否めない。
「滅亡」への重苦しい空気はほとんどなく。
やはり「軽い」印象を受けてしまいます。
パニックに陥る群衆や、街が荒廃していく様子などはほとんど描かれていません。
最終エピソードで若干入れてきますが、それも全然ライト。
おそらく太田垣先生が原案・脚本となっていますが、相当部分は漫画担当(*作画担当ではない)の太田先生に任されていた作品ではないかと思われます。
じゃないと、こんな綺麗事では終わらせないでしょう。
キャラがみんなイケメンすぎ!?
各エピソードの登場人物たちが最後には1本につながるかな?
もしくはエピローグ的に出てくるかな?
と予想していましたが、そういう仕掛けもなし。
前のエピソードのキャラが次のお話に出てきたり。
それはあるんです。
でもね。
男性キャラがみんな細面のイケメン過ぎて。
(1巻)
(2巻)
(2巻)
違いがわからねぇ!!
もっと不細工も出そうよ!
ちなみに全部、別人です。
主要な男子キャラがみんなBLコミックみたいなんだもん…。
(1巻3話、2巻8話登場)
あ、コイツはわかる(笑)
読み返して、キャラの名前を確認して、やっと気づく。
もっと違いをハッキリ描いていただきたかった。
さて、評価は?
2巻完結。
このテーマなら、いくらでも引っ張れるでしょうし、いつでも終われたでしょうし。
最初から想定していた長さではないような気がします。
個人的には2巻の3姉妹の話が一番好きです。
もう少し色々なエピソードが読みたかった。
ということで【星6つ】。
あくまでフィクション。
綺麗なSFを期待して読むならアリかな〜。
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FRONT MISSION DOG LIFE & DOG STYLE 全10巻
(2007〜2012)
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