No.335
カテゴリ:SF/ファンタジー
オススメ度10 ★★★★★★★★★★
著者:田村由美
出版社: 小学館
発売日:2002/3/26(1巻)
巻数:35巻完結
「この場所で 生きています」
遂に完結です!!
16年もの長きにわたる大人気連載が感動の終幕。
文明崩壊後の未来へ送り込まれた少年少女たちのサバイバル。
それがこの「7SEEDS」です。
あらすじ
自分の部屋で寝たはず…だが目覚めると、ナツは荒れ狂う海の上にいた。
どうして自分がここにいるのかわからない…。
やがて流れ着いた無人島。生きるための過酷な冒険が始まった!!
最終巻を読んで。
「ふ〜」とため息をつきました。
この作者は歴史を作る。
物語ではなく一つの「歴史」を見届けた…。
そんな気になりました。
よくぞ、ここまで。
このテンションで!
全ての伏線という伏線を見事に回収。
その手腕は見事としかいうほかない。
圧巻の結末には感嘆の嵐。
「人生で読んだ最高の漫画は?」
と漫画好きの誰かに聞いたとしたら。
100人聞けば、絶対に。
数票は入っているだろうと思える作品です。
つまり、それほど。
面白いってコトです!
7SEEDSとは?
7つの種?
どういうこと?
このタイトルの意味は早々に明かされます。
とにかくこの作品は登場人物が多いんです。
なぜ、これほど登場人物が多いのか?
未読の方のためにネタばれしない程度に概要をば。
人類存続のため、日本では「7SEEDSプロジェクト」が発足する。
それは若く健康な男女を7人づつの5チーム「春・夏A・夏B・秋・冬」に分けて、冷凍睡眠をさせて未来へ送り込むというものだった…。
少年少女7人+大人のガイド1人。
それが計5チーム。
それだけで40人にもなるわけです。
多いな!
この5チームのエピソードを時間軸を変えながら描いていくという構成。
そして最後にはすべてのチームが繋がる仕組み。
濁流となり怒涛のラストへ!
これはすごいわ。
7SEEDSな人たち。
この作品の凄いところ。
それは主要キャラの全員が、そのまま1本の漫画の主役になれるんじゃないの?
というくらいに魅力的なことです。
夏Bチーム。
岩清水ナツ。
気弱で大人しい少女。
この作品のWヒロインの一人。
青田 嵐。
真面目な青年。春チームの花とは恋人同士。
春チーム。
末黒野 花。
サバイバル術に長けた活発な少女。
Wヒロインのもう一人。
夏Aチーム。
安吾。
生まれた時から7SEEDSプロジェクトに入るために訓練を受けてきた。
その過酷な生存競争で人格形成に大きな影を落とす。
根は真面目でリーダー気質
涼。
冷徹な頭脳と行動力を持ち、安吾を支える。
安吾と同じく過酷な訓練を受けてきた。
冬チーム。
新巻鷹弘。
冬チームの生き残り。
甲子園で活躍した有名な投手。
これは少女漫画だったのか?
1巻の表紙を見ればわかります。
作画はのタッチはまさに「ザ・少女漫画」
それだけで避けてしまう男性諸氏は多いのではないでしょうか。
・・・・・。
あぁ、もったいない。
僕もそうでした(笑)
目が大きく、キラキラ、うるうる。
「いかにも」な少女漫画的作画は好きじゃない。
なので、噂を知りつつもずっと読んでいませんでした。
あまりにいろんなサイトでオススメされている作品でしたので、
「絵が苦手だなぁ。。」と思いながら読んでみたのが、25巻を過ぎた頃。
そしたら、ハマった!
「なんだこれ、すげぇ!!」
壮大なSF・サバイバル。
1巻からずっとめまぐるしく変化するストーリー。
ぐいぐい引き込まれる。
面白すぎるやんけ!
夢中で一気に最新巻まで読みました。
今から読む人は幸せです。
この壮大なストーリーを最初から最後まで。
途切れることなく、待つことなく。
一気に読むことができるのですから!
優しくもあり残酷でもある。
この作品。
一言で言えば「未来でサバイバル」
文明崩壊後。
地形も気候も生態系も何もかも変化した世界。
そんな想像を絶する過酷な環境が舞台です。
完全に水没した東京とか。
そんなところに放りだされた少年少女。
そりゃあ、悲惨な結末が待っているはず。
一人、また一人と倒れていくのか…!?
と、思いきや。
うん?
ううん??
死なねえ(笑)
びっくりするくらい、みんな生き延びる。
ピンチを切り抜ける。
一人も欠けることなく、どんどん乗り越えて行きます。
何度も「んなアホな!」とツッコんでしまうほどの都合良い展開の連続。
そこは少女漫画か。
優しいな、オイ!
と、思っていたら。
容赦ないほど残酷な描写、鬱な展開きたぞ。
これ、少女漫画ですよね?
特に夏Aチームのエピソードの闇度は深い。
優しさと残酷さが同居する、混沌としたSFファンタジーです。
優しいだけじゃない。
この残酷さがあるからこそ。
多少のご都合主義的な展開も気にならず、どんどんと引き込まれてしまうのだと思います。
さて、評価は?
おそらく、劇画風なタッチでこの作品が描かれていれば…。
【星15】くらい(ないけどね!)したい。
「ザ・少女漫画」の作画が嫌というわけではありません。
ただね。
文明崩壊後の世界。
廃墟や断層や無人島や地下世界。
「もうちょっと迫力が欲しいなぁ」と思ったのも事実。
とはいえ。
高いエンターテインメント性と深いドラマ性。
もう、それだけで唯一無二の作品となっています。
少年少女たちの生き様。
何人もの人生を感じてしまうこの作品。
死ぬまでに一度は読んでおかなきゃ!の【星10】でオススメです。
まだ、続く?
最終35巻。
怒涛の展開で、駆け足で終わりました。
16年もの連載の最後にしては、急ぎすぎ?
この後どうなるの?
っと思ったら。
「あとがき」にて、今後も番外編を描いていくとのこと。
いやっほう!
これは楽しみです!
最終巻では描かれなかった「方舟」の中の「〇〇たち」のその後とかね。
各カップルのその後とかね。
読みたいエピローグがたくさん。
田村先生!素敵な作品をありがとうございました。
そして! まだまだ、期待しております!
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(2018〜)
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