潜熱

No.361
カテゴリ:恋愛
オススメ度4 ★★★★☆☆☆☆☆☆
著者:野田彩子
出版社: 小学館
発売日:2017/2/10(1巻)
巻数:1巻以下続刊

「その手に触りたかった」

潜む熱…。潜熱。

なんとも叙情的なタイトルと表紙に惹かれました。

「ヤクザと女子大生の、危うく切実な恋物語…」ですと?

これ、絶対面白そうやん!
と思い期待を込めて読んでみました。

それがこの「潜熱」です。

あらすじ

コンビニでバイトしている大学生の瑠璃は、毎日必ず同じ銘柄のタバコを二つ購入する中年の男・逆瀬川のことが気になっていた。

ある日、瑠璃は思い切って逆瀬川に声をかけるが…!?


感 想

なんか。

イライラするわぁ。

主人公が流されやすくて考えなし。
甘々の世間知らず。

可愛い普通の女子大生のコンビニバイトが。
タバコを買いに来るヤクザを逆ナンですと?

ありえねぇ!

ないわ!
絶対ないわ!

今の女子大生、もっと利口だわ。

最近流行っている「年の差」恋愛ものですが。

あまりにリアリティのなさに「フッ…」と失笑。

言っておきます。

嫉妬ではない。

決して、もてないおっさんの嫉妬ではない!


潜熱な人たち。

岡崎瑠璃。
大学一年生。
コンビニでアルバイトをしている。

逆瀬川(のせがわ)。
ヤクザ。奥さんとは離婚。
瑠璃と同い年の息子アリ。

トモ。
瑠璃の友人。
いろいろとお節介を焼く。

誠士(せいじ)。
逆瀬川の息子。瑠璃と同い年。
父親に相当の恨みがある。


問われるのはリアリティ?

若い頃。

誰もが一度は憧れる「危うい恋」。
その身を焦がす熱に侵されたい。

ありますよね?

アウトローに惹かれる真面目な女の子。
破滅的な結末を迎える恋愛ストーリー。

昭和時代には、そんな映画やドラマ、わんさかありました。

でも、それも昔のお話。

これほど情報化が進んだ社会。

今の若い子はもっとドライだしスマート。
明らかに反社会勢力な存在へ、無闇に近寄りません。

ましてや普通に生きてきたような女の子ならなおさら。

19歳の女子大生がヤクザの何処に惹かれるのか?
しかも、毎日2箱のタバコを買いに来るだけ。

危ないところを救われたり。
そんな衝撃的なエピソードがあるわけでもなく。

レジで電話しながらお金払うヤクザを見て。

笑顔が可愛い…。

はぁぁ???

頭おかしいんちゃうか!

フィクションだよ!っと言ってしまえばそれまですが。

何のリアリティもない。

あくまでも「女子大生とヤクザの年の差恋愛モノ」を描きたいだけの作品のような気がします。


深そうで、浅い。

「痛くて、切実で、繊細で。」

なんてAmazonレビュー欄に言葉が並びそうですが、僕の感想は全く逆。

繊細な部分など何もない。
熱を帯びるほど恋い焦がれる。
涙がでる。
それほど人を好きになる。

そこには何か深い理由があるはず。

その心の深みを全く描かない。

その昔、山田詠美の小説『ひざまずいて足をお舐め』を読んで感じた、あの女の匂い。
明らかに著者の経験則から滲み出てるであろう、暗さ、深さ。

真実(リアル)なフレーバー。

それがないんです。

おっさんにもなるとですね。

知ったかぶりの「それっぽさ」に一番さめるんです。

なんだかドラマ性が深いようで、実は浅い。


さて、評価は?

作画は超好み。

絵にも雰囲気があります。

いかにも人間ドラマを繊細に描きまっせ!というタッチ。

でもなぁ。

それだけに、中身の薄さが気になってしまいました。

1巻の最後で。

なんて言ってしまう、この男。

手を出してしまえば、単なる小者。

駄作で終わるでしょう。

純愛で終われるのか?

若干酷評気味になってしまい、ファンの方すみませぬ。

う…む、となる【星4つ】

ここから深みを増していくのかどうかが分かれ目です。

1巻から読む
(2017〜)


【その他の野田彩子 作品】

いかづち遠く海が鳴る 全2巻
(2015〜2016)

わたしの宇宙 全2巻
(2013〜2014)

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