No.329
カテゴリ:恋愛/ラブコメ
オススメ度9 ★★★★★★★★★☆
著者:みず谷なおき
出版社: 小学館
発売日:1985/11/
巻数:3巻完結/ワイド版は2巻完結
「女なんて…でっきれえだっ!」
何十年経とうが、色褪せない。
そんな名作があります。
昨日に引き続き、お盆企画ということで。
早世した漫画家、みず谷なおき先生を偲び、その名作の一つをご紹介します。
1980年代に垢抜けた作風で大人気となったラブコメ作品。
それがこの「人類ネコ科」です。
あらすじ
女ばかりのアパート「南山荘」に下宿する男子高校生の北斗。
やりたい放題の同居人たちの影響で、極度の女嫌いになってしまっていた。
そんな北斗に、バレンタインデーに学校のアイドル・谷山舞奈からチョコが届く。
そして、女嫌い・北斗の受難の日々が始まるが…
十何年ぶりに読み返しました。
いやぁ、今読んでも感動は色褪せない。
まず驚くのはその作画力。
この作品の連載は1985年。
30年以上も前になります。
全く古さを感じない。
これってすごくないですか!?
クリアな線で、描き込みも多いのにスッキリとした作画。
子供心に「絵がうまいなぁ!!」と思った作者さんです。
ストーリーは単純明快。
ドタバタ・ラブコメディ。
一組のカップルをめぐる青春ラプソディ。
古典的王道と言ってしまえばそれまでですが…。
その王道パターンの一つを作り上げた作品だと思います。
舞台設定、キャラ設定ともに当時は斬新でした。
後のラブコメ作品群に少なからず影響を与えているはず。
ネコ科な人たち。
七瀬北斗。
女だらけの「南山荘」に下宿する男子高校生。
極度の女嫌い。
谷山舞奈。
学校のアイドル。
天然清楚系お嬢様。
守山修一郎。
北斗の幼馴染。
めっぽう喧嘩が強い。名古屋弁。
中島亜津美。
舞奈の親友かつ用心棒。
姉御気質。
兵頭真琴。
南山荘のリーダー。
北斗を弟のように可愛がり「いぢる」。
見どころは!?
ヒロイン谷山舞奈の崩れっぷり。
いや、ホメてます。
1話で登場した時は天然清楚系のお嬢様だったはずが。。
話が進むにつれ、どんどんと制御不能の爆弾キャラに。
守山が冗談で口にした言葉を信じ、北斗と結婚しよう!と突き進むとか。
北斗との仲を親に反対されて家出してしまう!とか。
とはいえ、その外れっぷりは昨今の漫画と比べれば可愛いもんです。
そのあたりが、古き良き時代かな、みたいな。
不良の定義やモラルの逸脱といったラインが優しいんですよね。
そういった意味では、お子様も安心して読んで頂けるラブコメ漫画となっています。
どこぞの「少年ジャ◯プ」のように「すぐにおっぱいポロン」な安易なラブコメではありません(笑)
そんなサービスシーンなどなくても。
話のテンポ、セリフのウィット感、ストーリー展開の秀逸さ。
これだけで読ませてしまいます。
これぞ、KING・オブ・ラブコメ!
さて、評価は?
3巻完結。
この長さ。
ラブコメとしては物足りないか!?
本来、ラブコメ作品はある程度の巻数があってこそ、ストーリーに深みが出ます。
ですので、もっと描き続けて欲しかったというのが当時の本音。
でも、読み返してみると、3巻でキッチリまとまっています。
主要キャラの顛末もしっかりと描いてあり、納得のいく大団円。
3巻完結という短さならではの、勢いが詰まっています。
ダレる箇所など微塵もない。
本当に面白い。
みず谷先生は、病弱であったことと、アシスタントを使わず一人で描きあげるというスタイルのため寡作。
本来ならば、この作画クオリティとストーリーの面白さ。
押しも押されぬ人気作家の一人になっていてもおかしくない存在だったと思っています。
本当に…口惜しい。
大好きな漫画家さんでした。。。
多分に自分の思い入れも入っていますが。
まだ読んだことのない人には是非読んで頂きたい。
そんな思いを込めての【星9つ】でオススメです。
【その他のみず谷なおき 作品】