8月のゴースト

No.288
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン/恋愛
オススメ度5 ★★★★★☆☆☆☆☆
著者:降本孟
出版社: 小学館
発売日:2017/3/10
巻数:1巻完結

「初恋は叶わないんだよ」

ううん?
スクール水着を着た可愛い女子が見下ろしているこの表紙。

なんだ!?
めっちゃ気になりますやん。

ということで。
またも表紙に惹かれ手に取りました。

それがこの「8月のゴースト」です。

あらすじ

約束の場所に現れた少女の霊。
それは7年前に亡くなった彼女だった…。

転校ばかりしていた主人公が高校2年の夏に、交流を持った少女。
やがて少年は小説家となり取材のため、思い出の地・種子島を訪れる。

種子島を舞台に過去と今が交錯する切ない青春ラブストーリー。


感 想

ハイ、切ない系。

まぁ「〜ゴースト」とつけば、そりゃぁ。

ですよね。

少年と少女の一夏の交流。
淡い初恋。

「果たせなかった約束」を幽霊となった彼女ともう一度やりなおす。

テーマとしてはよくある話。

ストーリーに何か大きな仕掛けが最後にあるかな?
どんでん返しがあるか?

と期待していたのですが、それはなし。

かなり素直な展開です。

切ない系が好きな人にはいいかもですが、ちょっと物足りない気も。


8月な人たち。

桐野直人。
小説家。家の都合で転校ばかりしていた。
取材で高校2年の時に3か月だけ過ごした種子島を訪れる。

夏野深月(みずき)。
海で溺れていた直人と出会う。
泳げない直人に泳ぎを教えることになり交流が始まる。
学校は何かの事情で行っていない。

夏野朱星(あかり)。
深月の妹。
7年後に島に訪れた直人と偶然再開する。


もう一ひねり欲しかった。

全体を通して流れる切ない空気感、好きです。

ただ、少しキャラのバックボーンが浅い気が。

転校生でぼっちだった主人公と孤立していた少女との交流。

それ自体はよくありそうなんですが…。

なぜ、美人で水泳部の元エースでもあった少女が登校拒否の問題児となっていたのか。

いじめや何かがあったのか?

その登校拒否に至る事件や、トラウマ。
そういった心の問題を描いた表現は作中になし。

あくまで主人公目線のみで進みます。

問題を抱えているはずのヒロインの存在が宙ぶらりん。

なので。
二人がだんだんと惹かれあっていく過程も理由も不明。

単に水泳習ってるだけやん? みたいな。

そもそも、そんな登校拒否になるような少女がですよ。

見ず知らずの男子高校生と海で二人きりになり。
水泳の指導をする。。。

そんなんあるかいっ!!

それが一番のファンタジー(笑)

そして。

彼女が死んでしまう理由。

それもあまりにもさらっとしすぎ。

もう少しドラマ性をもたせて欲しかった。

「そんなんで死んだの!?」
と言わざるをえないサラサラっぷり。

何だか、あちこち「もうちょっと」と思ってしまう。


さて、評価は?

作画がいい。

要所での見開きのコマなどがとても綺麗。

ただ、エロを匂わす作画がテーマにそぐわず多すぎる。

これは好みの問題ではあります。

あざとすぎるほどの。
水着、胸チラ、脇チラ。

これほどストレートで切ないお話。
もっと綺麗に描ききってよかったんじゃないかな?

無駄に引っ張らず1巻完結でサクっと終わるのはいい。
サクっと読めちゃいます。

なのでここは【星5つ】で。

次回作に期待したいところ。

全1巻を読む
(2017)

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