No.160
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン/1巻完結
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆著者:福満 しげゆき
出版社: 講談社
発売日:2010/5/21
巻数:1巻完結
「今まで…ちょとおかしくなってたみたいだわ」
このなんとも間の抜けたタイトル。
そしてこの表紙。
だってプリティーなお目めのおっさんが金槌持って構えてるんですよw
気にならないわけがないじゃないですか!
独特の絵柄と作風でコアなファンも多い福満しげゆき先生の人気作。
それがこの「生活」です。
あらすじ
とある「郊外の街」に暮らす青年・オレ。
自分自身と毎日に納得いかない鬱屈を抱えていたオレは、同じ想いを抱く仲間・僕と出会う。
そしてある計画を思いついた。それは……街の悪を成敗する活動!
福満先生の初の長編ストーリー。
1巻完結ですが、なんと288ページもあります。
「僕の小規模な生活」でエッセイ漫画家とのイメージが強い作者ですが、どうしてどうして。
この長編も面白い。
主人公の二人が「オレ」と「僕」。
このあたり、作者の自己投影のような気がしてならない。
重くはなく全体的にコミカルなタッチ。
なのにフィクションと笑って済まされない「何か」を感じてしまいます。
本作はそんな漫画。
いわゆる「世直しモノ」
最初はあまりに小規模すぎて妙にリアル。
行き当たりバッタリ感がすごい。
実際、何も考えず鬱憤を晴らすくらいの気持ちで始めるとこんなグダグダになるんだろうな。
中盤から賛同者が集まり規模が大きくなっていくくだり。
これ、漫画的に大げさに描かれていきますが、実際こういう事ありますよ。
満たされない自己承認欲求。
悪者を叩くことで満たされる正義感。
時に必要以上の「叩き」が起こる世間の縮図なような気がします。
そしてそれが行き過ぎ、暴走してしまうと取り返しがつかないというところも。
作中の「僕」のセリフ。
これな!
ウダウダ語る。
顔のデッサンが歪なのも福満節。
コマ割も小さく、さらにセリフも詰め込み多いから読みづらい(苦笑)。
そして巻末の長〜い作者のあとがき。
「もう国家転覆しかない!」
「でも実際やるのは怖い、誰かやれ!」
「僕は漫画で描く!」
「でも難しかった!」
「これくらいで勘弁!」
みたいなメッセージ。
もう、、。
ウダウダ語る。
この屈折してる感がいいなぁ。
未完の傑作に!?
2005〜2007年に連載されていましたが、第9話(全18話)の時点で一時休載。
本作の中盤における一番の盛り上がりの箇所での中断。
2008年に1巻が発売されたきり、そのまま「未完の傑作」と呼ばれ終わるか?となりましたが…。
2年後。
モーニング(講談社)のWeb配信という、掲載の形を変え見事に復活!!
無事完結を迎えました。
これだけ休載期間の空いてしまった作品をテンション切らずにフィニッシュしたのは素晴らしいと思います。
さて、評価は?
今年2016年に「ヒーローマニア -生活-」というタイトルで映画化してます。
なんで、この野暮ったいタイトルを変えちゃうかなぁ!
「生活」だからこそいいのに。
絵柄で好みの分かれるところかも。
【星7つ】でオススメです。
終始小規模な市民のストーリー。
未読な方は是非、手に取ってみて欲しい。
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(2013)