No.134
カテゴリ:ホラー/1巻完結
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆
著者:諸星大二朗
出版社: 集英社
発売日:1988/7/
巻数:1巻完結
「稗田礼二郎のフィールド・ノートより」
熱狂的なファンが多い諸星大二朗先生。
代表作ともいうべき「妖怪ハンター」シリーズ。
その栄えある第一集が、この「海竜祭の夜」です。
概 要
異端の考古学者・稗田礼二郎(ひえだれいじろう)。
彼が日本各地で起こる、超自然的な怪異現象を解き明かすというストーリー。
一話完結のオムニバスの作品集です。
収録作品は以下の9編。
「海竜祭の夜」
「ヒトニグサ」
「黒い探求者」
「赤い唇」
「生命の木」
「幻の木」
「花咲爺論序説」
「闇の中の仮面の顔」
「肉食の誕生」
*3話目の「黒い探求者」は「ヒルコ 妖怪ハンター」として2009年に映画化されています。
この妖怪ハンターシリーズ。
なんと40年以上続いている超ロングシリーズなんです!
初の発表は、1974年!
連載があの「週刊少年ジャンプ」というから驚き。
諸星先生の初の連載作となったこの妖怪ハンター。
実は5回で打ち切りとなっています。
はやっ!!
本作「海竜祭の夜」のあとがきで諸星先生が当時の状況を赤裸々に語っておられます。
そもそも「妖怪ハンター」の名前は担当編集者が命名したとのこと。
ご自身は気に入っておらず「妖怪ハンター」で発表されたのはジャンプに載った5話のみ。
その後に続く作品は「稗田礼二郎シリーズ」「稗田礼二郎のフィールド・ノートより」「稗田のモノ語り」と別タイトルになっています。
ですが。
やっぱり「妖怪ハンター」の方が覚えやすくキャッチーなんでしょうね。
シリーズが何度も単行本化していくのですが、その都度、副題として「妖怪ハンター」がつくことになります。
大きくまとめると「妖怪ハンター」のシリーズ作品は6集。
天孫降臨 (1993)
ちなみに。
最初のジャンプ掲載分5話を収録した妖怪ハンター(1978)。
う~ッン!
歴史を感じるカバーデザインだ!
その他、 2005年に「海竜祭の夜」から「六福神」までの全作品を収録した文庫本(全3巻)が刊行されています。
さて。
すごいですよねぇ!
この稗田礼二郎なるキャラが生み出されてもう40数年。
掲載誌を変えながら断続的に発表されてきました。
ちなみに稗田礼二郎という名は古事記の暗誦者、稗田阿礼からだそうです。
このネーミングからしても稗田というキャラへのこだわりが伺えます。
そして。
妖怪ハンターといいながら妖怪というのがほとんど出てきません。
(それっぽいのは何度も出ますが …)
ましてやハントなど。
あくまで稗田礼二郎は傍観者。
超自然の謎を追い求める研究者。
怪異の語部(かたりべ)としての役割です。
これだけの年数をかけて発表しているにもかかわらず、その作品のスタイル、稗田礼二郎というキャラの一貫してブレない姿は素晴らしい。
発表作品に数十年もの差がありながら、年代のギャップ、作画のギャップを感じないってすごくないですか!?
妖怪ハンターシリーズはどの作品から読んでも楽しめます。
特に初期の作品を集めたこの「海竜祭の夜」は傑作と名高い作品が収録されています。
カテゴリはホラーとしましたが、怖さより、オカルトや神秘的な世界観が魅力です。
漫画好きなら一冊は読んでおきたいシリーズです。
妖怪ハンター 全3巻 を読む
【その他の 諸星大二朗 作品】
*諸星先生の古い作品は様々なヴァージョンで刊行されています。
収録内容がかぶる場合もありますので、幾つかは省略しています。
新しいVerで刊行された作品は発表年ではなく、その刊行された年で表記しています。
諸星大二郎 ナンセンスギャグ漫画集 全2巻
(2010)
スノウホワイト グリムのような物語
グリムのような物語 トゥルーデおばさん
(2006)
暗黒神話
(1977)
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