海帰線

kaikisen

No.101
カテゴリ:ファンタジー/1巻完結
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆
著者:今敏
出版社: 講談社
発売日:2011/1/21(新装版)
巻数:1巻完結

「う・・海人!!」

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今敏(こんさとし)。
日本が誇るアニメーション監督です。

およそ20年前。
映画「PERFECT BLUE」を見た時は、その映像の緻密さと内容の濃さに驚愕しました。
あの「AKIRA」以来の衝撃です。

尖ったアニメ映画を製作する監督が現れた!と。

以後「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」「妄想代理人」「パプリカ」と続きます。
漫画好きの方ならきっと何作品は見たことがあるのではないでしょうか?

そして2010年。
46歳という若さで永眠されました。


実は漫画家。

今敏監督が漫画家であったということを知らない方は、案外多いのではないでしょうか?

本作は1990年にヤングマガジンで初連載された作品です。
2010年の今敏監督の急逝を偲んで、翌年2011年に新装版として発売されました。

連載はバブル期終盤の1990年。
その当時の時代背景が伺える内容。


あらすじ

舞台は、とある海辺の町。
そこには「海人(うみびと)」の伝説が残っていた。
その町へリゾート開発の話が持ち上がる。

主人公は「海人の卵」(と呼ばれる石)を代々守る神社の息子、矢代洋介。
リゾート開発側に立ち、計画を進めようとする現当主の父。

先代の祖父が卵を預かって60年目。
それを海へ返さなければならない約束の年がきた。

進むリゾート開発。
このままでは、約束の場所も埋め立てられてしまう。
洋介は父に逆らって、卵を返す決意をするのだが…。


感 想

1巻完結。

バシッと終わります。

実際は「打ち切り」だったようですが、全くそんな感じはしません。
元々のシナリオ通りという印象。

まさにアニメーション映画を見たような気分。

ただし、大きなどんでん返しやひねりはありません。
ストーリー性で言えば、やはりひと昔前の感は否めません。


何と言っても作画が綺麗。

これをほぼ一人で週刊連載で描いていたとは…。

驚きしかない!

描けるの?これだけを一人で!?

「AKIRA」の大友克洋先生のアシスタントをされていたので、絵柄もよく似ています。

これを古いタッチと断じるのはよろしくない。

20年経っても、現代の漫画と比べてクオリティでは全く負けていません。
むしろPCでの処理がなく、オール手書きな分、超越してるのではないかと。

巻末にある今監督の「あとがき」も必読です。

ぜひこの透明感ある名作に触れて欲しい!

全1巻を読む


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