No.159
カテゴリ:ドラマ・サスペンス/1巻完結
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆著者:中山昌亮
出版社: リイド社
発売日:2002/4/28
巻数:1巻完結
「ただの遊び・・だった」
「後遺症ラジオ」「不安の種」ですっかりホラー漫画家と認知された中山昌亮先生。
その真骨頂はやはりクライム・サスペンス!
ネット社会に潜む恐怖を描いたのがこの「レネゲイド」です。
あらすじ
ネットでお遊びで殺人サイトを作っていた大学生・田島。
それは送られたターゲットの写真を加工、コラージュして、殺したように見せる幼稚なもの。
ある日突然、大金と共に殺人依頼が一方的に送りつけられる。
退屈な日常は崩れ、田島は否応なく事件へと巻き込まれてゆく…。
全1巻といいながら、分厚い!
なんと290ページ。
単行本の2冊分近いんです。
読み応えあり。
まだ中山先生がホラーを描いていない頃の作品。
ですが、作中の被害者の怯えた表情、犯人の暗い眼差し…。
すでにホラーしてますねぇ。
とにかく中山先生の描く人物からは、恐怖心や緊張感がすごく伝わってきます。
なのでストーリーに臨場感がある。
最初から最後まで緊張感でまくり。
飽きさせません。
良質のクライム・サスペンス。
そして結末には大きなどんでん返しが待っています。
設定は古い。
これが描かれた時期からすでに15年も経っています。
10年すればひと昔…いや!
いち、にー、さん昔前くらいになってしまうネット社会。
ですので、今読むと。
多少「?」となる箇所はあります。
それらしい言葉を並べつつも、技術的な検証はなされていないな、という部分が多々あり。
それをする技術は、その時はさすがにないだろう?とか。
それはいくら何でも無理だろう?とか。
しかも作中の人物が誰一人スマホを持っていないし、出てもこないわけですから。
いやー、時代を感じますね。
ですから本作は「少し過去の話」と割り切って楽しむのが良いかと。
描いたのは匿名性の恐怖。
そもそもハッキング等の技術的なスリルや駆け引きなどを描いた漫画ではないです。
本作で描いてあるテーマはネット社会の闇。
匿名性の恐さを訴えています。
顔が見えなくなることで、攻撃性を増す人間。
突然放たれる悪意。
そしてそれが自分に向いた時の恐怖。
うん。
やっぱり中山先生は恐怖を描くのが上手いなぁ、と過去作品を読み返して改めて思いました。
【その他の中山昌亮作品】
後遺症ラジオ 1〜6巻
(2012〜)
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不安の種+ 全4巻
(2007〜2008)
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