No.401
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン
オススメ度6 ★★★★★★☆☆☆☆
著者:ぴのきみまる
出版社: 徳間書店
発売日:2018/2/13(1巻)
巻数:1巻完結
「ボクはおんなだということ」
あ、甘酸っぱーーー。
思春期に入る、まだその手前。
ふたりの小学生。
少年と少女の戸惑いと恥じらいと成長を描いたジュブナイル。
それがこの「ひみつのはんぶんこ」です。
あらすじ
楓と塁は同じスイミングスクールに通う幼なじみの小学6年生。
なんでもお揃いだったふたり。
やがて、楓は「女の子」で塁は「男の子」だということを意識し始めるが…。
何度も書くよ。
甘酸っぱーーーい!
ふわふわとした独特の作画。
柔らかいタッチ。
潤んだ瞳の少女とスクール水着。
ねぇ、ちょっと!
なんだかオラ、キュンキュンすっぞ!
とはいえ。
ピュアな作風の中に、少し隠れた背徳感…。
青いつぼみ的な…。
そんな匂いも感じてしまいます。
ちょっぴり背伸びした、セクシャルな展開も期待しておりましたが。
いやはや。
最後まで綺麗な世界で描ききりました。
はんぶんこな人たち。
楓ちゃん。
男勝りのボクガール。
塁と幼馴染。
塁くん。
楓と同じスイミング通う。
クールな男の子。
たまちゃん。
同じスイミングに通う女の子。
少しおませ。
思春期のまだ手前。
子供らしく無邪気でいた季節の終わり。
セクシャリティを感じ始める、思春期のまだその手前。
その奇跡的な「ほんの一瞬の時期」を切り取っています。
物語のメインは女の子である楓ちゃん目線で進みます。
女性らしい体つきに変わっていく自分への戸惑い。
それに伴う心境の変化。
気持ちが整理できない。
幼馴染である塁くんに感じる、不思議な感情。
バランスが取れない自分に悩みます。
さらに。
どんどんと膨らんでいくお友達のおっぱいに興味深々。
からの~。
むにゅう。
この擬音が「むぎゅ」ではなく「むにゅう」なのに、著者の百合的こだわりを感じてしまうのは僕だけでしょうか。
いかん、ピュアに読まねば!
さらに、この楓ちゃん。
天然で恐るべきキラーパスを繰り出します。
ある日、塁くんの家でお泊りのお勉強会をすることに。
夜も更けて、塁くんのベッドで会話してたら。
突然これ。
「ボクの胸…さわってみる?」
おいおいおいおいー!
夜、ベッド、ボクの胸。
小学生ダンスィには、これは刺激が強いですぜ!
って!
もったいなぁーい!!
おっと。
いかん、いかん。
ピュアに読まねば!!!
イケメンのまだ手前。
一般的に、思春期を迎える時期って女の子と男の子ではタイムラグがある気がします。
女の子の方が先。
ませている。
女の子が「女性らしさ」を意識し始める時、男の子の方は、まだまだガキっぽいまま。
でも、本作のふたりは、そのタイムラグがない。
むしろ男の子の塁くんの方が、先に楓ちゃんを女性として意識してしまったご様子。
でも、その自分の感情をごまかさず、戸惑いながらも真正面から受け切っている。
読んだ一番の感想は。
こいつ、モテそうやな。。
いるじゃないですか。
中学で、すでに余裕があって、落ち着いてて、知らんうちに彼女ができてるヤツ!
アレです、アレ!
そんなイケメン男子に育ちそうな塁くん。
小学生ダンスィはもっとバカだよ!
なんだか女性作家さんが描きそうな「理想の男の子像」という気がしないでもない。
って、女性作家さんなのか知らないんですが。
あくまでイメージで語っております(笑)
最後にバス停で待ち合わせるシーン。
初めてワンピースでやってきた楓ちゃんに。
そこに、さらっと言ってしまえる塁くん。
やっぱ、君。
ぜったい、モテるわ。
そして迎えるラストシーン。
「ひみつのはんぶんこ」そのタイトル通り。
楓ちゃんが抱えていた「ひみつ」。
塁くんが抱えていた「ひみつ」。
それぞれ何を「はんぶんこ」したのか?
それは本編にてご確認ください。
さて、評価は?
初読みの著者さんです。
これが初連載とのこと。
すでに作画のタッチが完成された感があります。
とても連載したばかりの新人作家さんとは思えない出来です。
同人とかで活躍されていたのかな?
絵柄が可愛いすぎて若干物足りない気もしますが、可愛い系が好きな方には良いかも。
1巻完結。
すべてを描ききらず。語りすぎず。
ほんの数週間の時間軸を描いただけ。
この潔さが素晴らしい。
ジュブナイル作品って、やはりこの「一瞬のきらめき感」がいいんです。
甘酸っぱさ、ピュアさが懐かしくなる。
そんな【星6つ】でオススメです。