女王の花

No.260
カテゴリ:恋愛/ファンタジー
オススメ度6 ★★★★★★☆☆☆☆
著者:和泉かねよし
出版社: 小学館
発売日:2008/8/26(1巻)
巻数:15巻完結

「俺の一生はあんたのものだ」

ついに完結です。

「悠久の大河ロマン!」と銘打ったこの作品。
連載開始からおよそ10年。

悲劇の女王とイケメン奴隷の波乱に満ちた恋物語。

それがこの「女王の花」です。

あらすじ

亜国の姫でありながら冷遇されている亜姫(あき)。

亜姫はある日、金の髪と青の眼を持つ奴隷の少年・薄星(はくせい)と出会う。

境遇の違いを超えて、強い絆で結ばれる二人だったが、その先に待っていたのは…!?


感 想

最初からハッピーエンドで終われないことはわかっていました。

では、その結末にどのように向かうのか。

二人は結ばれるのか?
二人の魂は救われるのか?

それが最大の見所でした。

そして迎えた今回の結末。

ううむ・・・。

結局は夢オチというか、うやむやというか。

明確には書かず。

解釈は読者の想像に任せます、みたいな。

これが少女漫画の限界なのか…。

どうしても中途半端な結末と言わざるをえない。

ファンタジーになりきれず。
恋愛漫画にもなりきれず。

ましてや壮大な大河ロマンというには少し残念な結末でした。


これは恋愛漫画。

歴史モノが好きな方。
ご注意ください。

舞台は中国王朝風にしてはいますが、いわゆる「三国志」「キングダム」のような歴史モノではありません。

歴史モノの設定を借りた恋愛漫画です。

国同士の争い、駆け引き、戦場でのリアリズムとかを期待してはいけません。

でも、恋愛漫画としては十分楽しめます。

ずっと「おあずけ」を食らっている、このストーリー!

くっつきそうで、くっつかない。

溜めに溜めて。
引っぱりに引っぱって。

14巻で二人の想いが通じ合う場面は。

「薄星、やっと!!」

男心に火がつきました(笑)


花な人たち。

亜姫(あき)。
亜国の姫。王国の姫でありながら、母が小国の出であったため、冷遇されて育つ。
明るく聡明な少女。
過酷な運命が待ち受ける。
(幼少期)

(少女期)

薄星(はくせい)。
金髪と青い目。異民族の奴隷。
幼少の時に亜姫と出会い生涯の忠誠を誓う。
(幼少期)

(青年期)

青徹(せいてつ)。
隻眼の謎の商人。
幼少の頃から亜姫と薄星を鍛え上げる。
その正体は亜姫の母、黄姫の想い人であり忠臣。


ここが残念。

なまじ歴史ファンタジーよろしく。
政治や軍事を著者がしっかり描こうとしたこと

出てくる登場人物が「歴史的なファンタジー」を担うには存在が軽すぎる。

何万人もの民の命運を握っている王やその重鎮たちというには無理がある。

泥臭くもなく。
生臭くもなく。
血みどろなんてならない。

どこか舞台セットの上で行われる綺麗なお芝居のよう。

政治も。軍事も。
その考察が甘い。

歴史的に色々と突っ込まれないように架空の国同士の争いにしたのだと思いますが…。

それでも設定には時々「?」と思ってしまうことも。
困った時はご都合主義で乗り切る、そんな連続。

ちょっと歴史モノを読んでいる方なら1〜2巻で興ざめしてしまうかも。

最後まで少女漫画の枠を超える事はありませんでした。

でも、それでいいんです。
著者の血に「ない」モノを描く必要はない。

だからもっと割り切って描いて欲しかった。

すごく「無理してる感」がストーリーの端々にあらわれています。

もっと堂々と「恋愛漫画」として描いてよかったのでは?
と、完結した今更ながら思います。


さて、評価は?

自分のためだけに命を捧げてくれる男。
身分の差を超えての愛。

という、女性なら憧れずにはいられないシチュエーション。

その願望の塊を形にした作品です。

なので、女性なら「うっとり♡」となるところも。
男目線だと「ハァァ??」となるところも。

もちろん僕は男性目線なので、どうしても「う~ん」となる場面が多かったのも事実。

でも、ストーリー展開は15巻全く飽きさせず。
ずんずんと読む進めてしまいます。

ということで。

「面白かったわ!」の【星6つ】でオススメです。

一味変わった恋愛漫画をお探しの方は是非!

1巻から読む (全15巻)
(2008〜20017)


【その他の和泉かねよし作品】

二の姫の物語
(2006)

そんなんじゃねえよ 全9巻
(2003〜2006)

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