No.413
カテゴリ:ファンタジー
オススメ度8 ★★★★★★★★☆☆
著者:吉川景都
出版社: 少年画報社
発売日:2016/2/29(1巻)
巻数:1~3巻以下続刊
「鬼を 飼うーー…」
シンプルかつ大胆なこのタイトル。
鬼を退治したり、鬼とコンビを組んだり。
そんな妖怪モチーフの作品は数あれど。
「飼う」というのは初めて見ました。
ということで、内容が気になって読んでみました。
それがこの「鬼を飼う」です。
あらすじ
昭和初期、東京本郷の地にて奇妙な生き物を扱う「四王天鳥獣商」なる商店があり……! ?
不可思議な生き物の飼い方教えます。
飼育系あやかしストーリー!
おおお。
これは見過ごしていましたよ!
面白いぞ!
「鬼」とありますが、いわゆる昔話に出てくるような鬼さんではありません。
独特の生態をもつ、奇妙な獣。
つまり「奇獣」です。
その奇獣をいかにして「飼う」かというお話。
初めて「蟲師」を読んだ時の不可思議さに近いです。
未知の生態系への洞察と、その発想。
鬼を「妖怪」というカテゴリに入れず、あくまで「生物」というカテゴリに収めて描く。
昭和初期、という舞台設定も絶妙。
近代化の波に取り残されていく、古い影の部分。
怖さもあり。
切なさもあり。
ほっこりもする。
なんとも摩訶不思議なテイストです。
鬼を飼う人たち。
鷹名 基(たかな もとい)。
帝大生。生物学を専攻。
ある日偶然にアリスに導かれ、四王天の店を訪れる。
司 玲一(つかさ れいいち)。
鷹名の友人。超絶の世話焼き。
良き意味で普通の人。
奇獣に魅入られ、のめり込んでゆく鷹名を見守る。
四王天 祐恵(しおうてん)。
奇獣を扱う「四王天鳥獣商」なる店の主人。
大きな秘密を抱える謎の人物。
右手に仕込みの武器を持つ。
アリス。
四王天の店で、奇獣の世話をしている。
鷹名に懐いている。
こちらも大きな秘密がある様子。
三条。
警視庁調査二係、通称「夜叉」の長。
四王天が隠している「ある奇獣」を追っている。
奇獣って?
伝説や神話に登場する「架空だと思われている」生き物。
高額な代金を支払えば買うことができる。
それが、奇獣。
その奇獣を唯一扱っているのが、四王天の鳥獣店。
どんな奇獣がお店にいるのか?
レッツ、ショッピング!
鬼。
部屋の中なら放し飼いOK!
「なぞかけ」が大好き。
昼間に7問、夜中に5問。
答えを間違えると喰われるぞ❤
さとり。
人の心を読む。
ご飯は木屑とホコリ。緑茶が好物。
何これ、かわいい❤
でも、怒らせると…?
ヨワルデパズトリ。
南米の神様の一人。夜行性。
胸にある小さい扉を開いて心臓を取り出せれば、相手の言うことを聞くようになる。
でも失敗すると、オノで頭をかち割られるぞ❤
さぁ、さぁ、どうですか?
飼いたくなってきたでしょう!?
さて、評価は?
1話完結の「鬼を飼う」エピソードが続きます。
1巻までは、不思議な生き物を描いた日常系オムニバス作品かと思っていました。
2巻から少し風向きが変わっていきます。
登場人物の背景、抱えている謎、そして主人公・鷹名青年の出生の秘密などなど…。
諸々のファクターが絡み合い出します。
やがて大掛かりな、昭和で浪漫なミステリー作品へと変貌を遂げていきます。
四王天を追う警察組織である「夜叉」の面々が登場してからは、物語のテンションが一気にヒートアップ!
これ、風呂敷たためるのか?
と、一抹の不安も感じ始めたところの既刊3巻までを読了。
まもなく4巻が刊行予定。
これは引き続きチェックしたい。
先が読めない面白さ。
まずは【星8】でオススメです。
【その他の 吉川景都 作品】