No.301
カテゴリ:歴史
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆
著者:原作:明智憲三郎 作画:藤堂裕
出版社: 小学館
発売日:2017/5/19(1巻)
巻数:1巻以下続刊
「”定説”は真実なのでしょうか?」
めちゃくちゃ渋い表紙です。
鋭い眼光の年老いた武士が剣を構えています。
これ、誰だかわかりますか?
なんと明智光秀なんです。
日本で最も有名なクーデター。
今だに謎の多く残る本能寺の変。
その真実に迫る物語。
それがこの「信長を殺した男 ~本能寺の変 431年目の真実~」です。
あらすじ
真説・明智光秀伝。我々が習った歴史は、“嘘”だった!!?
明智光秀が主君・織田信長を討った日本史上最大のミステリー“本能寺の変”!
多くの謎が遺される大事件を400余年の時を経て解き明かす!!
みなさん、明智光秀ってどんな印象をお持ちですか?
主君を討った裏切り者。
逆賊・明智光秀。
天下人となったものの十数日で豊臣秀吉に討たれてしまう…。
あの「三日天下」の語源にもなりました。
ここまでは中学生の歴史で習いますね。
さらに。
キンカン頭と呼ばれたとか。
討たれたのはフェイクで、実は生き延び、徳川幕府のキーマンとなる、日光東照宮を作った天海僧侶になったとか。
歴史漫画好きには馴染みのあるこれらの設定。
み~~~んな、まとめて。
真っ向、否定。
今まで習った、知っていた、明智光秀という人物像がガラガラと崩れます。
ちょっ、マジか!
と声をあげずにはいられない。
それほど、初耳なことが盛りだくさん。
それらが全て、膨大な資料の検証に基づいているというのが驚き!
荒唐無稽な歴史ファンタジーじゃないんです。
今まで習った歴史ってなんだったの!?
ほーんのーじの変♪
明智十兵衛光秀。
信長よりなんと18歳も年上。
49歳にして足軽ですらない。
(49歳)
(67歳)
信長(34)と出会った時ですでに52歳です。
本能寺の変で67歳で没。
そんな高齢だったの!?
これが一番の驚き。
織田上総介信長。
言わずとしれた戦国時代のカリスマ。
本作でも、理知的かつ残虐性を併せ持つ姿で描かれる。
豊臣秀吉。
本作では明智光秀を逆賊に仕立て上げ、信長の魔王のイメージを作り上げた張本人として描かれています。
この容姿は完全に悪人やね(笑)
どうにも原作者の私怨を感じずにはいられない。
黒人奴隷ヤスフェ。日本名、彌介(やすけ)。
アフリカ出身。イエズス会の宣教師の奴隷として日本やってきた。
信長に気に入られボディーガードを務めることになる。
本能寺の変に居合わせ「信長の最期の言葉」を伝えたとされる。

先祖の汚名を晴らすべく!?
本作はある歴史書のコミカライズです。
40万部を超えるベストセラーとなっています。
原作者の明智憲三郎氏。
明智光秀の子孫とされています。
僕は残念ながら原作は未読です。
原作のレビュー欄を覗くと賛否両論。
そのあまりに「明智サイド寄りの考察」に異論もあり。
要するに。
明智光秀の人物像が、勝者・秀吉によって印象操作されていた、という持論が展開されています。
先祖の汚名を晴らすべく。
そのような動機が見て取れます。
なので、明らかに「明智は善」「豊臣は悪」の構図ありきで考察が進んでいるようにも思えます。
ただですね。
どんなに大義があろうと。
50歳手前で足軽でさえなかった光秀を、一国の主にまで大抜擢した信長。
それほど大恩ある主君を討った、という事実は変わりません。
そうせざるをえなかったどれほどの理由があるのか?
明智光秀視点で描かれる「本能寺の変」。
400年も隠されていた真実とは何なのか?
歴史好きでなくとも、その結末は興味深いことでしょう。
歴史ロマンがまたひとつ。。
あと、僕的にちょっぴりショックだったのが、これ。
明智光秀=天海説。
10分の1くらい信じてたのになぁ。
まぁ「源義経が生き延びてチンギスハーンになった」レベルの伝説ではありますが。
歴史ロマンがまたひとつ…。
あとがき漫画や、明智氏のコラム等も読むと、歴史観がひっくり返されて面白いです。
さて、評価は?
作画はあの「Sエス―最後の警官―」の藤堂先生。
迫力ある描写、テンポ良い展開。
歴史漫画として、普通に面白い。
展開スピードは昨今ある歴史漫画に比べて随分早いです。
あっという間に進んでいきます。
描かれているのは今のところ全て「本能寺の変」の伏線です。
ですので、時間軸も多少行ったり来たりしつつ。
原作未読でも、歴史好きじゃない人でも。
十分に楽しめる、そんな作品になっています。
まずはオススメの【星7つ】で。
日本史最大のミステリー「本能寺の変」。
その真実を知るまで追っかけますよ。
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