No.92
カテゴリ:SF/1巻完結
オススメ度8 ★★★★★★★★☆☆著者:戸田誠二
出版社: 小学館
発売日:2010/1/29
巻数:1巻完結
「みんながんばって、幸せになるんだよ」
短編の名手、戸田誠二先生の傑作ヒューマンSFシリーズ。
あらすじ
ある街の話。
その街には「スキエンティア」(科学の女神)と呼ばれる像が掲げられた超高層タワーが立っていた。
主人公はその街に生きる者たち。
彼らは、己の人生を一変させたいと「禁断の科学」にすがる…。
収録作品は以下の7編。
「ボディレンタル」
「媚薬」
「クローン」
「抗鬱機」
「ロボット」
「ドラッグ」
「覚醒機」
科学で手にすることのできるもの。失うもの。
科学で幸せになるもの。そうでないもの。
SFではありますが、出てくる技術や機械は、およそSFらしくありません。
人々の生活に寄り添うようなもの。
あくまで少し進んだ科学技術くらいです。
ほぼ現代劇と言っていいでしょう。
戸田先生の短編は、大人なら誰でも感じたことのあるような感情を描き出します。
日常の中で漠然と感じている不安。焦燥。嫉妬。
そして主人公はいつも、悩みを抱え、それでも頑張って生きている普通の人たち。
だからこそ。
すっと心に入ってくる。
共感してしまう。
主人公たちの色々なエピソードに触れるたび「ああ、そうだよなぁ」と。
毎回頷いてしまうんですよね…。
そんな珠玉のエピソードばかり。
僕は7話目の「覚醒機」が一番好きです。
覚醒した男が友人に残すセリフ。これがいい。
絵柄は優しく、男性でも女性でも読みやすいタッチ。
今週はちょっと疲れたな…って時には。
ぜひ癒されてみてください。
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