No.11
カテゴリ:SF
オススメ度8 ★★★★★★★★☆☆
著者:吾嬬竜孝
出版社: 集英社
発売日:2016/9/2(1巻)
巻数:4巻完結
「蝶を倒せるのは君だけだ」
とっても気になる作品が出てきました!
謎の宇宙からの生命体と、1体のヒューマイノイドの人類の存亡をかけた戦いを描きます。
それがこの「鉄腕アダム」です。
あらすじ
西暦2045年。
人類は新たなフロンティア、火星への入植を始めていた。
そこへ飛来する「蝶」と呼ばれる謎の生命体。
地球は1体のヒューマノイド、アダムに全人類の防衛を託す。
残る蝶はあと8体。
アダムは地球を守りきることができるのか…?
まず、惹かれたのは。
この突然に飛来する謎の生命体。
ビジュアルがかっこいい!
圧倒的な大きさとヴィジュアルは、どこか「エヴァンゲリオンの使徒」を彷彿とさせます。
この蝶の飛来の目的は?
どこからか?何のために?
謎はまだ語られません。
ロボットvs謎の生物?
宇宙怪物を退治するロボット物か?
そんな安っぽい仕上がりではありません。
本作は空想科学ではなく、現実の科学や研究中の科学に基づいて描かれています。
やたらと科学的なセリフや注釈が多いことからも分かる通り。
ウンチクが多すぎて、多少読みにくく感じる場面も(笑)
こういうコマが延々続く!
さらに、おまけページで「科学講座」なるものもあり。
これも小さい字でびっしり!!
著者の並々ならぬ宇宙科学への情熱を感じてしまいます。
SF好きには萌える、いや。
燃える展開かと。
アトムじゃないよ、アダムだよ。
「鉄腕アダム」のネーミングは、もちろんあの「鉄腕アトム」から。
物語の中でも、相棒で科学者のジェシーがアトムの話をする場面が出てきます。
人類すべての命運を託されたアダム。
アダムを作り、相棒でもある科学者ジェシー。
そしてアダムサポートするチーム。
1巻で登場人物が出揃い、これからどうなっていくのか。
さて、評価は?
「鉄腕アトム」は最後、人類を救うために犠牲となりました。
この「鉄腕アダム」はどうなるのか?
作者はきっと何かしら「アトム」の最後を意識してるでしょう。
作画は線が細く、儚げな終末感を感じてしまいます。
ハッピーエンドとなるかバッドエンドとなるか?
まずはオススメの【星7つ】。
これからの展開が楽しみです。
4巻を読みました。
【6/12追記】
ついに、完結です。
2年かけて追っかけてきた、この作品。
地球へ向けて、「蝶」と呼ばれる謎の生命体が飛来する…。
と、某アニメ「エ〇〇」の匂いを若干感じてしまう本作。
すべて読了して。
感想、一言。
壮大すぎw。
いや、褒めてます。
壮大系SFは大好きなので!
見事な伏線の回収。
そしてアダムに隠された謎とは?
そのすべてが明らかとなりました。
1巻を読んだ、当時。
「鉄腕アトム」にかけて、物語のエンディングも主人公の献身的な悲劇で幕を閉じるのだろうと予想しておりました。
が!
そこは見事に裏切られました。
なるほど!
こうくるのか!
そして、1巻の冒頭部分。
廃墟と化したビル群を前にアトムの製作者ジェシーのセリフ。
4巻後半まで、ここにどうやってつながるのか?と危惧していましたが。
なるほど!
こうつなぐのか!
僕的には、心地よい裏切られ感。
そして迎える大団円。
この結末には賛否両論かもしれません。
ここまでコアで緻密なSFたらんとして書いてきた作者が、最後だけはご都合主義に走ってしまった?そんな感じのする結末。
でも、だからこそ。
読後感は悪くない。
少年誌掲載ということを考えると、これで良かったと思います。
救いようのない、寂寞とした結末になっても…ね。
ということで。
壮大なSF叙事詩。ここに完結です。
最終的なオススメは【星8つ】とさせて頂きます。
ちなみに。
1巻の表紙。
ずっと違和感がありました。
なぜ、アトムの顔が血だらけなのか?
最初は「蝶」の返り血かと思いましたが、違いました。
そもそも、戦闘で血など流れていません。
じゃ、なぜ??
その謎がやっと解けました。
4巻の157ページに、その答えが!
表紙まで使った、この伏線の回収の仕方には「ううむ」と感嘆してしまいます。