No.55
カテゴリ:SF
オススメ度5 ★★★★★☆☆☆☆☆
著者:岩岡ヒサエ
出版社: 小学館
発売日:2006/10/30(1巻)
巻数:7巻完結
「いつか父さんの降りたった場所を探したい」
童話でも描きそうな独特の柔らかいタッチ。
そして、キャラクターみんなウーパールーパー顔。
オリジナリティ溢れる作画で優しい世界を描き出す、岩岡ヒサエ先生のヒューマンSFドラマ。
それがこの「土星マンション」です。
あらすじ
環境破壊が進み地上に住めなくなった地球。
その地表35000m上空に浮く、地球をぐるっとリングのようにとり囲む建造物。
それはまるで土星の輪のよう。
そこには全ての人類が上層、中層、下層と3つに区分けされて暮らしていた。
物語の主人公は、その下層の住人であり「土星マンション」の外壁の「窓拭き」ミツくん。
ミツの父も「窓拭き」。
かつて作業中に事故で行方不明になってしまっていた。
ミツは父が命綱を切って地上に降りたのではないかと考え、いつか地上に降り立つことを
夢見ながら、父の後を追い「窓拭き」となる。
そんな彼が、周囲の人に助けられながら成長していく姿を描きます。
とっても不思議な空気感。
そして浮遊感。
絵は童話でも描きそうな柔らかく、可愛いタッチ。
なのに、そこはかとなく暗く緊張感もあり。
そして、キャラクターみんなウーパールーパー顔。
・・・(ごめんなさい)
枯れSF・・・?
ワクワクドキドキするSF作品ではありません。
宇宙を見上げてしみじみとするような。
なんだか哀愁漂うSF作品です。
そう「枯れSF」とでもいいましょうか。。
3つに区分けされ、差別、区別が当たり前となった格差社会の中での群像劇。
たくましく生きる人々。
光と影、陰と陽、そんな2面性を感じてしまう作品です。
静かな夜に、お酒でも飲みながらゆっくりと読んでみて欲しい。
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