No.322
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン/学園モノ
オススメ度8 ★★★★★★★★☆☆
著者:ゴトウユキコ
出版社: 講談社
発売日:2010/4/6(1巻)
巻数:3巻完結
「私もしてます…オナニー」
中学生のリビドー(性衝動)をナメてかかるな!!
なんて煽り文。
ナメてませんよ。
知ってますよ。
そりゃぁ、えらいことです。
その「えらいこと」を生々しくもバカらしく描きます。
それがこの「R-中学生」です。
あらすじ
普通の男子にみえて実は汚物のニオイフェチの伊地知。
同じクラスの女子の透けブラジャーが気になって仕方がない吉倉。
エロに対する好奇心が尋常ではない堀田。
第2次性徴真っ只中の中2男子たちを中心に繰り広げられる、早摘み思春期系ちょいエロコメディ!!
思春期は爆発だ(笑)
これぞ青春グラフィティ!
青臭くて、最高にバカらしくて。
なんともノスタルジック。
こんな友達欲しかった!
と思わずにいられない。
登場するのは底ぬけにバカでエロくてどうしようもない奴ら。
でも、これが愛くるしい。
ニヤニヤが止まらない。
頭の中は勉強よりもエロばかり。
いや〜〜、わかります。
この躍動感あふれる感情の描写!!
むず痒くもあり、痛ましくもあり、切なくもあり、可笑しくもある。
思春期という多感でセンシティブな季節。
その混沌とした空気感をかもす稀有な作品です。
これは、読まなきゃもったいない。
R-中学生な人たち。
伊地知 学。
隠れ汚物フェチのド変態。
女子トイレに忍びこんでは汚物の匂いを嗅ぐ。
吉倉 俊也。
2年2組の級長。
副級長稲沢さんの黒ブラジャーが気になってしょうがない。
掘田 稔。
エロ馬鹿クソ野郎。
口を開けば卑猥な言葉ばかりが飛び出す。
本当にギリッギリ。
1話目が最も危ない。
人によっては(特に女性の方)相当に嫌悪感を抱くであろうシーンが多々あります。
だってこれ。
女子トイレに忍びこんで…。
使用済みナ◯キンをスーハースーハー…
キモい!キモすぎるぅ!!
で。
見つかるwww
もう!
のっけから、うわぁぁぁぁてなります
だがしかし!!
この1話目で諦めてはいけません!!
これが壮大な伏線となり、最高傑作とも言える最終話に繋がっていくのです。
この1話目を我慢できれば大丈夫。
下品でエロくてバカらしいエピソードがてんこ盛りで続きますが、嫌悪感で言えば、この1話目がMax。
話が進むにつれて、おバカ3人組を取り巻く登場人物も増えてきます。
それぞれの性に関する悩みがり、それが愛らしくもあり。
もう、まさに青春!!という具合に。
青臭い匂いをムンムン放ちだすのです。
さて、評価は?
本作は著者、ゴトウ先生の初作品です。
1話目は実は『赫色少年の素晴らしき日々』という短編で、第60回ちばてつや賞ヤング部門、大賞を受賞した作品なのです。
その受賞作を1話目に据え、連載となったのがこの「R-中学生」。
確かに作画はまだ荒いです。
キャラの顔も3巻の間に変わっていきます。
雑と言ってしまえばそれまでですが。
やはり。
初連載作品というのは、その雑さを補って余りあるほどの「熱」が込められています。
僕は、こういう「初作品の熱」が大好きです!
やがて、どの先生も絵柄も構図も上手くなっていきます。
初期の雑味はいつしか消え。
荒さは巧さに。
熱はスキルへと置き換わっていきます。
その巧さとスキルを持ってしまったら。
二度と初期の拙い作品は作れません。
あの空気感は出そうと思っても出せないのです。
拙いけれど面白い。
唯一無二の雑さ!!
その絶妙のバランス!
この作品もゴトウ先生の「初めての熱」が詰まっていると思います。
ストーリーの面白さは抜群。
ただし絵が雑いよ、の【星8つ】でオススメ。
ぜひこのおバカでキュンと来る青春譚を味わって頂きたい。
【その他のゴトウユキコ作品】
水色の部屋 全2巻
(2015)
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