No.221
カテゴリ:ドラマ・ヒューマン
オススメ度7 ★★★★★★★☆☆☆
著者:原作:住野よる 作画:桐原いづみ
出版社: 小学館
発売日:2017/2/10(1巻)
巻数:上巻以下続刊
「君の膵臓をたべたい」
ショッキングなこのタイトル。
ホラーではありません!
「本屋大賞2016」の2位に輝いた青春小説。
そのコミカライズがこの「君の膵臓をたべたい」です。
あらすじ
高校生の【僕】。
クラスメイト・山内桜良が重病で余命いくばくもないことを偶然知ってしまう。
ただし桜良は病人とは思えないほど元気で天真爛漫。
内向的な【僕】とは正反対である。
秘密を共有する2人の奇妙な交流が始まった…!
最初に書いておきます。
小説は未読です!
ですので結末を知りません。
小説の細かいディテールもわかりません。
登場人物、設定がもし変更されていてもわかりません。
あくまで一漫画作品として読んだ感想です。
と。
えらく前置き(言い訳)が長かったですね(汗)
読んだ感想は・・?
せ・つ・な・い!
ザ!青春!!
さすがに小説原作といったところでしょうか。
脚本の妙と言いましょうか。
セリフが良い。
登場人物たちの等身大の言葉がすごく印象的です。
僕と彼女。
【僕】
作中に名前は出てきません。
【地味なクラスメイト】とか
【仲のいいクラスメイト】と呼ばれます。
人に興味がないと公言し、ぼっちを貫く。
桜良の日記帳を拾ったことで、彼女の病気を知る。
「山内桜良の死ぬ前にやりたいこと」に付き合うことで彼女と時間と想いを共有していく。
山内桜良。
膵臓の病気で余命いくばくもない。
天真爛漫な女の子。
「共病文庫」なる秘密の日記帳をつけている。
死の直前に「僕」から「君の膵臓を食べたい」というメールを受け取る。
死ぬまでにやりたいこと。
主人公の【僕】は他人と深く関わったことがない。
だから死を目前に控えた彼女とも変わらず接することができる。
これを桜良は「凄いこと」だと褒めます。
だからこそ言いたいことが言える、と。
うッう〜〜ん??
そうなのか????
普通に喋れる【僕】だからこそ。
「死ぬまでにやりたいこと」に巻き込んでいく。
⬆︎やりたいことの一つ。
「いけないことをする」
キャーーー!!(/ω\)
このあたりのストーリーはよく映画でもあるパターン。
「死ぬまでにやりたい〇〇のこと」とかね。
リアリティは求めない。
死を目前に控えた女の子。
その心境たるや、いかがなものでしょう?
10代の女の子が余命が1年と知らされて、こんなにも明るく振る舞えるものなのか?
疑問はあります。
そこにリアリティがあるのか?
と問われれば「ない」と思う。
でもね。
求めるのはそこじゃないんですよ!
青春小説!ってことで、この儚げな切なさにのっかってみようかなと。
みんな綺麗なものが読みたいんですよ。
やせ細っていく、辛く壮絶な闘病記などでなく。
綺麗に消えていく女の子のお話。
そこに必要以上のリアルさを求めてはいけない。
あくまでフィクションとして。
君の膵臓をたべたい。
この一文。
これがすべてかと。
心に残りまくる、このフレーズ。
さぁ、このセリフを結末にどのように使ってくるのか?
序盤の1シーン。
桜良から【僕】へ。
桜良:「君の膵臓をたべたい」
これは「悪い箇所を治すには、健康なその部位を食べると良い。」
という病気を治したいという意味で使われています。
冒頭の1シーン。
【僕】から桜良へ。
死の直前にメールを送るシーンがあります。
【僕】:「君の膵臓をたべたい」
健康なはずの【僕】から桜良へ、です。
「たべさせたい」ではなく。
「たべたい」です。
このセリフの意味は??
序盤でのセリフは伏線となり、全く違う解釈で輝くのか!?
このタイトルでもある重大なセリフの落としどころに注目をしています。
そして、それこそがこの作品を決定づける箇所だと予想します。
さて、評価は?
2017年7月には映画が公開されます。
映画化、コミカライズと話題の広まっている本作。
完結編の下巻は映画の公開時期に合わせて6月頃に刊行予定とのこと。
続きが気になりますが…。
このまま、小説は読まず下巻を待とうと思います。
まずは漫画作品としてその結末を読んでみたい!
原作が小説ということなので、もっと骨太な心理描写を期待していましたが、
今のところは少女漫画の域を出ない。
さあ、ここから「あっ!」と驚かせてくれるのか。
泣かせてくれるのか!?
期待をこめて【星7つ】とさせて頂きます。
完結時に改めて、追記したいと思います。
下巻を読んでみた。
【6/23追記】
さて、完結編。
なるほどです。
上巻で語られた僕から桜良への「君の膵臓をたべたい」の謎。
伏線が見事に回収されました。
だからか!
だから「食べたい」だったのか!
タイトルとなるだけあって上手く使ってきました。
流石です。
とはいえ。
なぜ、膵臓やねん?
それを表すならもっと違う方法あるよな…と。
若干無理矢理にフレーズを使ってきた感もあるオチ。
そして「え!?」と言わざるをえない急展開。
それはないだろ?と思ってしまった。
青臭い、、かも。
全編通して切ない空気感。
それは良いと思いますが…。
ただ一点。
原作者がとても、この世界に酔って書いてしまった感あり。
その青さに。
なんとも言えない「居心地の悪さ」を感じました。
小説版だと、もっとストンと腑に落ちるのかな?
これは好みが分かれそうな作品になったかもしれません。
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