No.10
カテゴリ:バトルファンタジー
オススメ度5 ★★★★★☆☆☆☆☆
著者:飛田ニキイチ
出版社: 小学館
発売日:2016/9/16(1巻)
巻数:5巻完結
「侍の生き方ってやつだ」
超絶画力と評判の作者。
なるほど、絵はめちゃくちゃ綺麗です。
表紙だけ綺麗で本編はそれほど……という作品もたまにありますが、
本作は最初から最後まで緻密の一言。
手抜きの一切ない作品だと思います。
それがこの「しのびがたき」です。
あらすじ
物語は架空の戦国時代。
忍者に家族を殺され復讐に燃える侍、虎之介(とらのすけ)。
彼は右腕に魑魅魍魎の力を宿す。
そして同じく異能の力を持つ忍者軍団。
互いの存続をかけた異能の侍と忍者軍団とのバトルが始まる…。
すでに何回も漫画のネタとなってきたような題材ではあります。
画力が素晴らしいのでバトルシンーンは「すげぇ!」となりますが
バトルそのものの展開は平凡そのもの。
技の使い方に秘密が!?敵を倒すための伏線が!?逆転するための頭脳戦が!?
と、、、そういうのがないんです。
あくまで、力技。
「ズゴォォォォ!!!!」
「ドドッォォォッ!!!」
刀が千本出るとか、地面が割れるとか、それを全て一太刀で粉砕するとか。
地面を割るぞ!
刀が千本出るぞ!
しのぶ人たち。
吉中虎之助。
元・尾長国、武芸指南役・吉中家の三男。
家族をすべて忍者に殺された。
忍者に復讐を誓った侍。
浅間紅璃(あかり)。
霧化国の国主、浅間宗赤の娘。
尾長の忍者に倒された、父、兄弟の仇討ちを企てる。
笑っていいのか!?
ドラマ部分でもかなり「ベタ」なシーンが見受けられます。
↓ 姫をかばって悪にやられる爺や。
「姫様、幸せに生きてください…」
じっ・・・
爺・・・!
爺いいいいい〜〜!!!
これコントでよくあるヤツやん!
こういうのが随所に。
完璧な画力で描かれつつ。
さらに、ちらほらギャグっぽいシーンも割り込ませてくるんですよ。
「ここは笑っていい箇所なのか!!?」
「このベタさは狙っているのか?本気なヤツか?」
迷ってしまうわ!
さて、評価は?
1巻終盤にきて、敵味方のキャラが軒並み揃い始め、だんだんシリアス展開に。
これから面白くなりそうな予感はしていますが…。
まだ判断がつかないところ。
なので【星5つ】とさせてください。
次巻も追いかけて、見極めてみたいと思っています。
2巻を読んでみた。
【3/18追記】
1巻は微妙で【星5つ】で様子見していたこの作品。
おおお!???
どうしたんだ?ってくらい面白くなってきてます。
前回は荒唐無稽すぎる忍者バトルと寒いギャグにがっかりしたのですが。
大げさすぎる忍術はなりを潜め。
どこかちぐはぐだったギャグシーンもかみ合い出しました。
キャラに馴染んできたというか。
仲間、敵役というキャラクターもはっきり分かれました。
敵の大将、尾長信影。
言わずと知れた、織田信長がモデル。
忍者軍団の頭領、草眼風丸。
主人公・虎之助の仇。
虎之助と風丸の因縁も明かされ、ようやく物語が動き出した感じです。
作画は相変わらず精緻なのですが、1巻とは話のテンポが段違いに良い。
シリアス一辺倒でなく、適度なコメディ具合も楽しくなってきました。
これは次巻も期待できそう!
3巻を読んでみた。
【7/1追記】
艶っぽい表紙。
この方が大活躍します。
クールな女侍、阿耶子。
なぜ、裸になってるのかは本編でチェック!
さて、この巻では、新たに「剣気」なるものが出てきます。
剣にオーラ(剣気)を乗せて全てを切る!みたいな。
どこぞのハンターが使いそうな技。。
これがまた。
ズッバァッァアァ!!
間合いどんだけwww
2巻で信影の城へと乗り込んだ侍たち。
しかし信影の術中により、舞台は闘技場と化します。
「俺を倒したければ、ここまで来い!」
80年代のジャンプかっ!
主人公チーム VS 信影・忍者軍団。
なんだ?このベタベタ展開!?
逆に新鮮だわ。
もう、この作品はツッコミありきで読むしかない。
そして1巻の頃と比べると、お前誰やねん!?
ってなるほどキャラが変貌した主人公。
カオスっぷりが楽しくなってきました。
まだまだ目が離せない。
5巻を読みました。
ついに完結です!
およそ2年にわたって追いかけてきたこの作品。
著者の超絶技巧によって描かれてきた「侍」VS「忍者」の合戦絵巻。
それが大団円を迎えました。
まずは4巻から。
おそらく読者の中でも人気の高い?キャラ、「かぶちん」が大活躍。
巨漢の鎧武者でありながら「デュフ」が口癖の秋葉系オタクキャラ。
まさに体を張って、姫(こと紅璃)を見事守り抜きます。
キャラの是非は置いておいて、本作中で一貫して最後までブレないキャラでした。
そして。
ついに頭領、草眼風丸が登場。
虎之助と対峙ます。
その過去が明かされます。
この「虎之助 VS 風丸」がやはり本作の一番のクライマックスとなりました。
そして続く5巻。
もうこの4、5巻では諸々の伏線を怒涛の回収です。
最後のボスキャラ、信影との対決。
忍術を奪い取るというその特殊な体!
虎之助たちに襲いかかります。
奪い取った忍術で変化していくぞ!
ゴゴゴゴゴゴ….
に、忍…術…?
あれ? ベルセルクか?
使徒ですか?
これが、信影完全体だ!
もはや、忍術でもなんでもない(笑)
本作では最初の方こそ忍術は「特殊な大技」という扱いだったのですが、物語が進むにつれて設定がどんどん変わっていきました。
最終的には、血で受け継がれていく、特殊な体質(変化アリ)という具合に。
忍術というより、完全に異能力バトルファンタジーと相成りました。
さて、最終評価は?
とにかく、一巻からどこに向かうのか読めない作品でした。
ハードな復讐劇のように始まった冒頭シーン。
それが回を重ねるごとに。
主人公のキャラクターの崩壊。
次々と出てくる新設定。
「侍」「忍者」という枠におさめることなどできない能力バトル。
極め付けは、人外への変化。
もう、そのカオスっぷりに、毎回…
なんでやねん!
と突っ込みながらも、結末まで追っかけてきました。
強引すぎるストーリー展開ながら、ここまで読めてしまうのは、やはり作画の素晴らしさ。
面白い云々はさておき、作画だけならバトル漫画でもトップクラスの出来ではないかと思われます。
それ故、やはり物語の部分のブレが勿体無い気がします。
侍と忍者の対立軸を描くのか?
究極のラスボスを倒すバトル漫画とするのか?
すべてを入れて、ごった煮。
その結果、全部が消化不良で終わってしまった感があります。
ということで。
2年かけて読んでみたぜ!の【星5つ】です。
ちなみに。
超個人的な意見です。
おそらく。
著者は原作付きで描いた方が、その作画の素晴らしさを存分に発揮できるのではないでしょうか?
いつか小畑先生(DEATH NOTE:作画)のように大ブレイクするはずだと、そんな気がしています。
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